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令和5年(2023年)5月20日(土) / 日医ニュース

鶏卵不足と薬剤不足

 物価の優等生と言われてきた卵の価格上昇が始まったのは昨年のことだ。円安や輸入飼料の高騰に加え、高熱水費の値上がりが追い打ちを掛け、これまでに見たことがない価格で売られている。家計を預かるものとして大打撃だ。
 そこへ年末頃からは高病原性鳥インフルエンザの流行のため、多くの養鶏場で鶏の殺処分が相次ぎ、鶏卵不足に拍車が掛かった。外食産業では卵料理の提供を控えるところも出始めたという。利用範囲の広い食品のため、その影響は極めて大きい。
 変わって、医療業界では、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう前から、一部の薬剤に出荷制限が出始めていた。主に後発医薬品メーカーへの指導や、薬品原材料の確保困難の影響と言われてきた。その後も、さまざまな製剤で供給不足は繰り返され、当院のような院内薬局を持つ個人診療所は大きな影響を被ってきた。
 特に、昨年末からの小児用各種薬剤の供給制限の折は、インフルエンザと新型コロナ同時流行の時期と重なり、発熱外来で咳止めを希望されても処方できない、解熱薬の散剤(粉薬)を希望されても希望に添えないと、心が痛む状況が続いた。今も、薬品卸の担当者が来院する度に、「次は何が?」とびくびくする日々は続いている。
 共に、安心して日常を送るため必要不可欠のものだ。一日も早く安定供給されるように願っている。
 4月には電力各社の値上げが行われた。大きなダメージが予想される中、一つでも多くの安心材料が欲しいところだ。

(和)

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