コロナ禍で減少していた救急患者数は、5類移行を経て、私の住んでいる地域で増加している。少子高齢化で人口が減少する中、高齢者の救急患者の増加は予想されていたが、小児の増加が顕著だ。
何をもって救急とするかは、市民と医療関係者とでは認識が異なると思われる。この点は、啓発をしながら相互の認識をすり合わせ、市民の不安を払しょくするための仕組みを工夫していくことが求められる。
救急医療については、全国的にもその運営は経営的な問題、マンパワー確保の観点から難しい時期に差し掛かっている。当地では初期救急医療体制として、夜間急患診療所(内科、小児科)、休日救急当番医(内科、外科、小児科)制度で運用しているが、医師及び診療科の偏在と高齢化の問題から、特に小児科の運用が行き詰まってきている。
とりわけ、休日救急当番医は、夜間急患診療所の出務に加え、年間6回程度の割り当てがある。診療所の医師は何とか頑張るとしても、職員が疲弊して対応しかねるケースも出てきている。
他産業に比較して賃上げのペースが遅い医療機関では、職員の職務の荷重が重くなると離職につながりやすい。医療機関は職員の募集をしても、地方ではなかなか充足できない。
開業医の高齢化もだいぶ進んでいる。医療DX推進に伴う医療機関の廃業もあるが、働き手不足による廃業も増加することが予想される。
今の医療機関の減少ペースでは、特に地方において、医療のニーズをきめ細かくカバーすることは難しくなる。
(SK)