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令和7年(2025年)9月20日(土) / 日医ニュース

全国的な医師職業紹介ネットワークの構築に協力を要請

全国的な医師職業紹介ネットワークの構築に協力を要請

全国的な医師職業紹介ネットワークの構築に協力を要請

 医師偏在是正に向けた全国広域マッチング事業説明会が8月28日、WEB会議で開催された。
 同説明会は藤原慶正常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつした松本吉郎会長は「医師偏在是正に向けた広域マッチング事業」の事業実施者として日本医師会が選定されたことから、本年11月より女性医師支援センターを「日本医師会ドクターサポートセンター」に、女性医師バンクを「日本医師会ドクターバンク」に改称し、全ての医師を対象にした組織としてリニューアルするとし、都道府県医師会と行政に協力を求めた。

全国広域マッチング事業の運営案を説明

 松岡かおり常任理事は、これまでの「女性医師支援センター事業(女性医師バンク事業)」に「医師偏在是正に向けた広域マッチング事業」を一体化させたものが「日本医師会ドクターバンク」であるとし、これらに再就業講習会事業や調査事業などを含めて「日本医師会ドクターサポートセンター」が運営していく()ことを説明。その運営に当たっては、①日本医師会ドクターバンクと都道府県医師会ドクターバンクとの業務提携②「重点医師偏在対策支援区域」「支援対象医療機関」「具体的な診療科」等の情報共有―を要請した。

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 また、業務提携については、既に3県と行っているが、全国に広げるイメージであるとし、「提携先は都道府県単位で1カ所を想定しており、内容を個別に検討して業務提携契約を締結する」と述べた。
 その上で、各都道府県におけるドクターバンクの設置状況に言及。「都道府県医師会が設置しているドクターバンクは21、行政で設置しているドクターバンクは34あり、どちらも設置していないのは6都県となっている」とし、都道府県の中で連携するドクターバンクを決めるよう求めた。
 業務連携については、コーディネーターの有無によって「マッチング連携」と「情報のみ連携」の形態があるとし、「コーディネーターがいない」及び「バンクが無い」場合の連携においては、日本医師会ドクターバンクがコーディネートしていくと説明。更に、マッチング連携をする場合には、コーディネーターの育成が肝要であり、コーディネーター間の交流や育成支援は、日本医師会ドクターバンクが担っていくとした。
 また、将来的には、求職者の同意を前提に日本医師会ドクターバンクと地域ドクターバンクが情報共有を行っていくとし、「求職者であるドクターと求人者である医療施設は、日本医師会ドクターバンクをハブとして他の地域のドクターバンクへのアクセスも可能となり、医師人材確保の機会が増加する」と強調。地域ドクターバンクから連携・共有された求人情報・求職者情報を基にマッチングした場合のコーディネート実績は、都道府県に計上するとした。
 加えて、ドクターバンクが存在しない場合の対応に関しては、都道府県単位の医師会・行政に窓口を設けて、重点医師偏在対策支援区域といった医師の偏在情報について地域医療対策協議会などの行政と情報共有・連携を行うよう呼び掛けた。
 この他、日本医師会ドクターバンクと日本医師会ドクターサポートセンターへの名称変更については、日本医師会の創立記念日であり、「いい医療の日」でもある11月1日を予定しているとし、今後、ブランディングを展開して、民間業者との差別化を図っていくことを強調。「地域のマッチングは地域ドクターバンクが、広域マッチングは日本医師会ドクターバンクが担う体制を構築できるよう、まずは都道府県単位で業務提携するドクターバンクを検討して、事業の業務提携を進めて欲しい」と要望した。

照会・応答

 引き続き、松岡常任理事が都道府県医師会や自治体より事前に寄せられた質問やWEBからの関連質問に回答した。
 「地域ドクターバンクのコーディネーターにはどこまでの範囲の業務を期待しているのか」という問いには、現在、日本医師会で実施しているレベルとする一方、地域の実情に合わせて個別に相談にも乗り、業務フローを提示していく意向を示した。
 無料では事業継続が厳しくなるのではないかといった意見に対しては、本事業においては要綱上は実費相当の手数料の徴収は認められているが、引き続き検討していきたいとした。
 全国的な医師職業紹介が行われることによって、かえって人材が都市部に集中してしまうのではないかとの懸念には、もろ刃の剣の面もあるとした上で、重点支援地域等にも興味をもってもらえるよう、医療機関の紹介に当たって声掛けをしていくよう求めた。
 民間事業者との差別化を図るために、女性医師バンクにおいて成立した医師の離職率の低さをアピールすべきとの意見には賛同する考えを示し、転居や産休等やむを得ない理由も含めても12%程度であり、コーディネートの不具合での離職率は更に低いことを強調した。
 この他、地域によって求人の条件等の情報確保にばらつきがあることを踏まえて、医療機関に依頼する入力項目を増やすことで民間事業者との差別化を図る必要があるのではないかといった発言も見られた。
 最後に松岡常任理事は、本事業を軌道に乗せるためには、求人・求職者の登録を増やすことが重要になると指摘。今後は日本医師会ドクターバンクの強みを生かして、病院6団体や日本医師会が連携している各種会議、委員会など関係各所に協力を求めていく考えを示した。
 閉会のあいさつを行った角田徹副会長・女性医師支援センター長は、活発な議論に謝辞を述べた上で、都道府県医師会や会員の理解を得て、医師偏在対策を進めていく必要性を強調。地域の実情をよく知るコーディネーターの存在が本事業の要であるとして、日本医師会ドクターバンクとの連携を呼び掛けた。

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