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令和8年(2026年)5月5日(火) / 日医ニュース

「世代・ジェンダーをこえて ちむどんどん」をテーマに開催

松本会長松本会長

松本会長松本会長

 第20回男女共同参画フォーラムが、「世代・ジェンダーをこえてちむどんどん」をテーマに4月4日、那覇市内で開催された。
 当日は、基調講演、報告の他、二つのシンポジウムが行われ、日本医師会からは松本吉郎会長を始め、角田徹副会長、渡辺弘司・松岡かおり・藤原慶正各常任理事が出席した。
 フォーラムは、稲田隆司沖縄県医師会副会長による開会宣言で幕を開け、松本会長及び田名毅沖縄県医師会長、来賓の玉城デニー沖縄県知事があいさつした。
 松本会長は、フォーラムの開催に先立ち、今年度でフォーラムが20回目という節目を迎えたことに触れるとともに、今年度のフォーラム開催に尽力した沖縄県医師会を始め、講師やシンポジスト等の関係者に深い感謝の意を表明した。

260505i2.jpg その上で、人手不足や物価高騰などの影響が広がる中にあっても、「国民に安全・安心な医療を提供し、健康を守り続ける」という医師の使命は不変であると指摘し、そのためには、それぞれの価値観や立場を尊重しつつ、世代や専門性の異なる人々が協働することが欠かせないと強調。「誰もが自分らしく力を発揮できる環境づくりがこれまで以上に重要となる」との認識を示し、今回のフォーラムが、世代やジェンダーを超えてより良い医療の現場づくりの一助となることに期待を寄せた。

基調講演

260505i3.jpg 基調講演では、まず、喜納育江琉球大学長がアカデミアにおける女性学者数の少なさから、日本社会におけるジェンダー意識の国際的な遅れを帰納的に捉えるとともに、ジェンダーギャップ指数(GGI)の中で、特に「政治」「経済」の領域における男女格差が大きいことを指摘。その上で、自身がアカデミアにおける男女共同参画やダイバーシティー推進に取り組んできた経験が、医療界におけるジェンダーギャップの解消やダイバーシティーの推進につながることを期待するとした。

260505i4.jpg 次に、渕辺美紀沖縄経済同友会代表幹事が「沖縄の経済と女性力」と題して講演し、沖縄の観光産業の現状と課題について報告した他、女性の活躍の妨げとなる諸要因の解消を目指して進められている様々な取り組みを紹介。ジェンダー平等を推進するためには女性が活躍しやすい場を創出するばかりでなく、組織や経済の活性化が重要との認識を示した。

報告

 報告では、小泉ひろみ日本医師会男女共同参画委員会委員長が、令和6、7年度の会長諮問は「男女ともに活躍できる医療界を目指して」であり、答申取りまとめに向けて、四つの調査(①勤務医会員数・勤務医部会設立状況等調査②女性医師の勤務環境の現況に関する調査③男女共同参画についての男性医師の意識調査④男女共同参画についてのアンケート調査)を実施したことを報告。特に③についてはその結果を詳細に説明した。

260505i5.jpg  松岡常任理事は、日本医師会ドクターサポートセンター事業について、(1)「女性医師支援センター事業」「医師偏在是正に向けた広域マッチング事業」の二本柱で構成されている、(2)2025年11月1日の改称に伴い、男性医師の登録者数が急増している、(3)地域ドクターバンクとの業務提携を進めている―こと等を紹介。その他、8年ごとに実施している「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」の2024年度調査結果にも言及し、今後、この結果も踏まえ、その対応策を男女共同参画委員会で検討していきたいとした。

シンポジウム

260505i6.jpg 続いて行われたシンポジウムでは、まず、「これからの自分の働き方~世代別の価値観と課題~」と題して4名のシンポジストから発表が行われた。
 中部徳洲会病院の志田原睦研修医は、医学生の時に出産し、子育てをしながら初期研修に臨んでいる生活を踏まえて、医師としての様々な業務をこなしつつ、家族との時間を確保するためには、適切なコミュニケーションと、周囲に頼り、頼られる関係性を構築することが重要との認識を示した。
 玉城智子琉球大学病院病理診断科助教は、妊娠・出産と専門研修期間が重なった経験を基に、子どもが小学校就学前は様々な育児サポートが利用できるため、仕事と子育ての両立がある程度実現できるものの、それ以降は制度的サポートが減少し、このタイミングでいったんキャリアを中断せざるを得ない女性医師が多い構造的な問題を指摘した。
 池宮城梢那覇市立病院産婦人科部長は、管理職の立場から、世代やジェンダー等により異なる個人の状況を尊重しながら、職場のワークライフバランスを取ることの重要性と難しさについて概説し、その解決のためには人数の確保もさることながら、人材の多様性の確保も有効ではないかと指摘。また、女性医師の働き方改革と同様に、男性医師の働き方についても改革を進める必要があるとの認識を示した。
 佐々木尚美沖縄県立北部病院長は、医師である前に人間であり、新しい人や技術、知識との出会いを楽しむことが重要との認識を示した上で、管理者として多様な価値観を尊重しつつ、常に職場の新陳代謝を心掛けているとした。

260505i7.jpg 引き続き、「男性育休の現状と課題について」と題して、3名のシンポジストが発表を行った。
 平良祐介琉球大学病院産婦人科助教は、男性医師が育休を取得するに当たり、かつては男性医師の育休への意識の乏しさ、勤務先の制度への不理解等の問題があったと指摘。また、実際に育休を取得した感想として、取得の申請には周囲の理解と協力が不可欠であること、収入が減少するため、長期間の育休は経済的に難しいことを強調した。
 下地亮那覇市立病院脳神経外科医長は、第5子誕生に際し1年間の育休を取得したエピソードを紹介。職場のマンパワーが充実していたため、育休取得の申請はしやすかったものの、周囲の理解を得ることへのプレッシャーはあったと述懐。また、男性の育休取得への理解が乏しく、今なお女性が取得するものという固定観念が根強いことへの問題意識も示した。
 南部クリニックの西由希子氏は、医師でもある夫が育休を取得したエピソードを紹介。夫婦そろって子育て及び家事のスキルを身に付けることのメリットや、夫が育休を取得することで分かるジェンダーギャップがあったことを指摘し、「今後、そのギャップが埋まっていくことを期待したい」と述べた。
 その後の質疑応答の中では、「育休中のアルバイトの可否」が話題になったことを受け、松岡常任理事は、『医師の多様な働き方を支えるハンドブック』において、育休中であっても、労使間で合意があれば一時的・臨時的な就労が認められているとの解説があることを紹介した。

260505i8.jpg 総括を行った角田副会長は、男性の育休取得や男女共同参画について、日本医師会によるアンケート結果を見ると、少しずつ改善しているとの認識を示すとともに、育休に関するエピソードや経験を共有できる場が重要と指摘。その上で、「このようなフォーラムによって多様性を認めることの難しさや、性差やジェネレーション・ギャップに関するアンコンシャス・バイアスにそれぞれが気付き、取り組む契機になることを期待する」とした他、制度的な改善が必要な点については日本医師会から国に働き掛けるなど、今後も医師の働き方改革が進むよう努力していきたいとした。

 なお、次回フォーラムは令和9年4月10日に、千葉市で行われる予定となっている。

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