松本吉郎会長は10月14日、都内で開催された「日本健康会議2025」に、日本健康会議の共同代表として出席し、講演を行った。
会議の冒頭、小林健日本健康会議共同代表/日本商工会議所会頭の主催者あいさつに続き、講演に立った松本会長は、かかりつけ医が地域において果たす役割の重要性等を強調するとともに、世界的に高い評価を受けている日本の医療の評価や、コロナ禍によって明らかになった日本の医療の強み等に言及。(1)平均余命、(2)65歳時点平均余命、(3)避けられた死―の割合において、OECD諸国と比較して優れており、脳卒中及び糖尿病のアウトカムにおいても高い実績となっていることを紹介した。更に、健康寿命も世界最高水準であり、高齢化に伴って認知症の数は増えているものの、その対策は高く評価されていることを紹介した。
また、(3)については、コロナ禍の2021年において、日本は重症化予防などによって多くの死を回避できたことを示すデータを示し、この結果は、国民の努力はもとより、保健・医療関係者、行政、経済団体、保険者、教育、メディア、患者団体、アカデミア等、多くの人々の尽力によるものとの認識を示した。
その上で、日々、地域に根差した活動を実践しているかかりつけ医について、地域住民にとって身近で頼りになる存在であることを強調。患者の相談に応じ、症化リスクの高い患者には保健指導を行いながら、必要に応じて専門医や専門機関に紹介するとともに、専門的な治療の終了後は再び地域で患者を引き受け、面として地域医療を支えることがその重要な役目であるとした。
更に、「日本の健康づくり、医療・介護のよさ」として、1.国民皆保険、現物給付、フリーアクセスにより、いつでもどこでも誰でもが最善の医療を受けることができる2.専門医と連携するかかりつけ医3.生涯教育等を行い、かかりつけ医機能や地域連携を推進する医師会活動4.初期、二次、三次救急など医療機能に応じた役割分担と連携5.CT等の多さに担保された好医療アクセス―等を例示。一方、これからの地域医療の現場には、少子化や人口減少、超高齢社会と要介護者の増加等、膨大な課題が重くのしかかってくるとして、これからのかかりつけ医は日常の診療に加え、地域を面とした健康づくりや医療・介護の提供が更に求められるとの認識を示すとともに、さまざまな専門性をもつ多くの医師が医師会活動に参加することが求められるとした。
また、「地域の時間外・救急対応」「行政・医師会等の公益活動」「地域保健・公衆衛生活動」等の活動を地域のかかりつけ医で分担・連携し、地域を面として支えることも必要になると強調した。
その他、松本会長は、医師会が郡市区、都道府県、全国の三層構造になっていることや、地域医療を担う多くの医師により構成され、行政と連携しながら地域医療を支えていること等を地域住民に広く理解してもらうため、2023年度より「地域に根ざした医師会活動プロジェクト」を開始し、これまで4回のシンポジウムなどを開催していることを紹介。今後とも、日本医師会として地域住民、ひいては国民の健康づくりに貢献していくとの決意を示した。
なお、この日は、古賀友一郎経済産業副大臣、福岡資麿厚生労働大臣、加藤勝信財務大臣も来賓として来場し、それぞれあいさつを行った。
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