勤務医のひろば


1983年に医師となり、気が付けば40年以上が過ぎた。中学・高校の同級生達は65歳で定年を迎え、それぞれ第二の人生を歩んでいる。高級カメラを手に写真に打ち込む者、マラソンや登山に挑戦する者、全国の城を巡る者もいる。忙しそうに見えても、時間の余裕があるからこその過ごし方なのだろう。定年の無い仕事に就いた私には、そうした生活がどこかまぶしく、また少し距離のあるものとして映る。
年金について振り返ると、私は基礎年金と厚生年金の双方を受給できる立場にあり、それ自体はありがたい。しかし、多くの同級生は企業年金を含む、いわゆる三階建ての年金制度の恩恵を受けており、勤めてきた企業規模によってその手厚さに差があることを実感させられる。
若い頃、麻酔科医として医局の方針に従い、数カ月ごとに勤務先を異動する生活を続けていた。60歳を過ぎて年金事務所で説明を受けた際、その勤務形態によって一部期間の保険料が通算されていないことを初めて知った。保険料を支払っていたつもりでも、月末時点の資格の有無によって制度上は未納扱いになる月があったという。今から納めることはできず、結果として想定していたより年金額は少なく感じられた。また、数年ごとに勤務先を変えている現在の勤務形態では、まとまった額の退職金が支払われることもない。
振り返れば、日々の診療や責務に追われ、老後の備えについて深く考える余裕が無かったのかも知れない。医師年金についても、もっと早くに関心を持っていればと今になって思う。このような私の経験が、これから医師としての道を歩む若い世代にとって、将来設計を考える一つの材料となれば幸いである。



