医師のみなさまへ

2021年2月10日

第4回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
小学生の部【優秀賞】

「私のお兄ちゃん」

戸田 智咲 (8歳)富山県

「さあ、おまいりに行くよ。」

 朝からパパが言いました。今日は、8月10日です。私は毎月10日、おばあちゃんの家に行ってお仏だんに手を合わせます。おそなえはおかしやフルーツです。おまいりの後はこのお下がりをもらえるので、10日がくるのがちょっと楽しみです。

 でもふと、なんで毎月10日におまいりに行くのだろう?と、ぎ問がわきました。その日、ママにわけを聞くと、ママは、

「智咲のお兄ちゃんの月めい日だからよ。」

と、教えてくれました。めい日って何? さいしょ、ママの言葉のいみが、まったくわかりませんでした。

 私は三人きょうだいの一番上で、6才の弟と3才の妹がいます。弟たちは私を「お姉ちゃん」や「ねーね」と呼んで、したってくれます。私も弟たちといっしょに遊ぶことが楽しいです。でも、弟たちとは、ときどきけんかもします。そんなときは、

「お姉ちゃんなんだから、ゆずってあげなさい。」

と、言われます。また、ママからもたよられ、

「お姉ちゃんなんだから手伝って。」

と、手伝うときもあります。そんなときは、

「好きでお姉ちゃんになったわけじゃないのにな。私にもお姉ちゃんかお兄ちゃんがいたらよかったのに。」

と、思っていました。

 でも、おまいりに行くわけをママに聞いて、本当は私にも「てんせい」という名前のお兄ちゃんがいたことを知りました。てんせい兄ちゃんはママのおなかの中にいるときに「たいじすいしゅ」というびょう気にかかってなくなったそうです。だから、私たちが元気にそだっていることをほうこくするために、毎月おまいりしているのだと聞いて、なっとくしました。

 私にもお兄ちゃんがいたのです。なくなった? えっ? どうして? びょう気? 私は元気に生まれて、毎日楽しく生きているのに、元気に生まれてこられないいのちがあるのだと、知ったときはショックでした。みんな、元気に生まれてくるものだと思っていました。てんせい兄ちゃんは、小さな小さな体で生まれてきたそうです。おおよそ500グラムで、うぶ声をあげることもなく、パパやママは、とてもかなしんだんだよ、と教えてくれました。

「お兄ちゃん、おたん生日おめでとう。今日で10才だったんだね。いっしょに遊んでほしかったよ。これからも私たちのことを見守っていてね。」

と、私は心の中で言いました。おまいりのわけを聞いた日は、お兄ちゃんの10回目のおたん生日だったのです。毎月10日、これからも家ぞくでおまいりにいこうと思います。

第4回 受賞作品

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