2026年6月3日
第9回 生命(いのち)を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
第9回 生命を見つめるフォト&エッセー 受賞作品
フォト部門
※受賞作品名をクリックして頂くと別ウィンドウで開きます。
一般の部
小中高生の部
審査員からのひとこと
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■熊切大輔(日本写真家協会会長)
今回応募された作品を見て第一に感じたことが、全体のレベルが大きく上がった印象でした。どの作品が選ばれてもおかしくない審査となり、大いに頭を悩ませて頂きました。「生命を見つめる」というテーマはそのリアリティが問われます。その場で起こった瞬間性、事実が生み出す感情など、生成AIなどで作成した画像では有り得ない、まさに真を写したものが写真作品となり得るのです。それは「写真映えする絶景」だけではなく、「何気ない日常」でも良いのです。あなただけの素晴らしい瞬間がそこに写っていれば良いと思っています。特に受賞作は魅力的な被写体ということだけでなく、決定的な瞬間が同時にそこに写し出すことができているように感じます。そんな素晴らしい受賞作品を御覧下さい。
一般の部・厚生労働大臣賞「ぎゅ、」
命の生まれた瞬間を切り撮った、初めて「命を見つめた」瞬間が写し出されたのではないでしょうか。顔が見えない事によって、よりその手に目線を集めることができました。母と子、それぞれの絆の始まりの感動が伝わってきました。一般の部・熊切大輔審査員特別賞 「光と影」
スナップの王道であるシルエットの表現。工事の白い壁は影絵のようにシルエットを印象的に描くことができます。そんな中、車椅子を静かに押し進める姿が印象的です。構図の中で進行方向を空けることで、これからの人生を予感させてくれます。 -

(c) Machi Iwago■岩合光昭(動物写真家)
何かを感じた時、誰かに伝えたい、残したい、と思う。それが写真です。皆さんの真っすぐな感性、被写体に向かう愛情を感じながら、審査をさせて頂きました。家族、友人、身近なヒトを見つめる温かな視線でシャッターを押すと、写真も温かなものになります。そんな写真を手に取るたび、こちらの胸も温かくなります。
動物写真を見ていると、被写体がヒトとは異なる、ある種の難しさがあるように思います。今回は既視感のあるものは選ばないようにしました。動物に
対峙 した時、どんなやり取りをし、何を撮るのか、とことん突き詰めた写真を求めています。惜しいものがいくつもありました。次回、とても楽しみにしています。一般の部・東京海上日動賞「ようこそ我が家へ」
新しい生命の誕生を家族で喜び合う。イヌが大きく画面を占めているので、イヌも家族の一員と強調されます。家族みんなで赤ちゃんを見つめています。そのまなざしに、温かさ、優しさ、この世界の幸せを感じます。一般の部・岩合光昭審査員特別賞「最高にしあわせな日」
離れた場所から、たくさんの応募作品を見た時、最初に目に留まった写真です。撮影者が80歳と聞いて、この一瞬を収める瞬発力に感服しました。空を舞う若者の手足、躍動的な人々、降りしきる雪... 芸術作品です。小中高生の部・文部科学大臣賞「いつも隣に」
日常を巧みに切り取っています。撮影者の感じた思いが、心に流れてきます。タイトルも秀逸です。ゆっくりと丁寧に食事をするおばあちゃんに寄り添う、温かな服を着たイヌ。ヒトの手のような前足に頬が緩みます。 -

■奈緒(俳優)
本年は、全体に撮影者の皆さまの感動がそのまま感じられる作品がとても多く、写真を拝見しながら、改めて「日常の愛おしさ」を感じさせて頂きました。
産まれた生命を見つめる瞬間を切り取った一枚。愛を生き生きと捉えた一枚。日々を静かに見つめる一枚。幸せをダイナミックで鮮明に捉えた一枚。
どの受賞者様の写真も、「見つめる」を多様に捉え、構図もそれぞれに個性のある一枚です。本当におめでとうございます。
一般の部・日本医師会賞「笑顔腕力勝負」
大切な生命を見つめる眼差しと、被写体への尊敬の念を感じます。後光のような黄色の背景の中、二人のお子さんを抱き上げるたくましい姿にピントを合わせ、その笑顔がヒーローのように輝いています。一般の部・読売新聞社賞「熱すぎる愛情」
お灸を据え、火をつけるその瞬間だけではなく、被写体であるお二人の全ての日常に愛情があるのだと、その奥行きを感じられる一枚でした。見つめ続けたその瞬間を切り取る力が素晴らしいと感じました。小中高生の部・奈緒審査員特別賞「秋空まで届け」
シンプルな構図が、"生きること"の面白さを真っすぐに伝えてくれます。また、「届け」と伸びる手までをしっかりと見せ、その瞬間を切り取る力で、"写真"の面白さを実感させて下さる一枚でした。
エッセー部門
一般の部
- 厚生労働大臣賞
- 「生きたいと強く願い」
- 植山 教子(千葉県)
- 日本医師会賞
- 「完治と閉院の日に」
- 神社 昌弘(東京都)
- 読売新聞社賞
- 「最初で最後の「愛してる」」
- 大友 かおり(東京都)
- 東京海上日動あんしん生命賞
- 「患者に寄り添い、家族に寄り添う」
- 松田 正弘(京都府)
- 養老孟司審査員特別賞
- 「小さな病室に差し込んだ光」
- 太田 夢(北海道)
- 玄侑宗久審査員特別賞
- 「さする手の記憶」
- 木村 翔子(北海道)
中高生の部
小学生低学年の部(1~3年生)
- 文部科学大臣賞
- 「ドキドキ、ドキン!表彰式の旅」
- 廣末 葵士(東京都)
- 玄侑宗久審査員特別賞
- 「長生きするということ」
- 西多 晃都(埼玉県)
審査員からのひとこと
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■養老孟司(東京大学名誉教授/解剖学者)
毎年応募作品の審査に当たっているが、今年もすぐれた作品が多かったと思う。応募作品は感動的な体験を伝えようとすることが多いが、感動を素直に伝えるのなら小・中学生の文章でよいと思う。生の感動は上手に伝えないと、読むほうがかえって白けてしまうことが多い。大人の文章なら感動の裏にヒヤッとするような冷たい理性が感じられるのが理想的だと思うが、そういう作品にはなかなか会えない。短い文章なので、文章を書こうと思っている人が練習がてら、気軽に応募してくださらないかと感じている。
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■玄侑宗久(作家/福聚寺住職)
毎回変わらない面と、変わる部分の両面を感じる。芭蕉のいわゆる「不易と流行」だろうか。印象深かった変化は、看護師さんの労働環境の逼迫を訴えた文章。またくも膜下出血で亡くなった娘さんの臓器移植の話だろうか。臓器の提供は、家族の了承だけで可能になってから格段に増えた。移植医療への国の援助も大きい。この変化をどう見るべきなのか、死生観にも関わる大きな変化だと思う。
もう一つ、変化をあげるなら、今年は認知症の祖父母に出遭う孫の立場からの文章が多かった気がする。これまた国家的な問題だが、今回も繰り返し作品を読みながら、多くのことを学ばせていただいた。「生命を見つめる」眼差しは、一つでありながら多彩、多様でありながら一つである。
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■水野真紀(俳優)
ご応募頂いた作品の生命を見つめる視点には様々な背景があり、ともすれば狭くなりがちな視野を広げる機会を我々に与えてくれたように思います。惜しくも入選に漏れた作品の中にも、医療関係者へのエール、自身や他者の生命に向き合う難しさ・喜び等、印象に残るエピソードが多々ありました。
また、子ども達が綴ったひたむきな思いに、生命を尊ぶ気持ちや他者への共感の芽吹きを感じました。
今後もこのコンテストが生命を見つめ直すきっかけとなり、作品が誰かの癒しや気付きに繋がることを期待しています。
