医師の確定申告・納税

公開日:2021.09.13 / 最終更新日:2023.04.05
Point
  • 医師ならではの
  • 複雑な勤務形態により
  • 確定申告が必要になることは
  • 多いです。

① 医師は確定申告が必要な場合が多いです

研修医を終えて専攻医・勤務医となった医師の多くは、大学や基幹病院などに勤務しながら、他の医療機関でアルバイトをするという働き方をしています。このように、主な勤務先以外から収入がある場合には、「確定申告」を行うことが法律で義務づけられています。
確定申告とは、「1年間にどこからどれだけの収入を得たか」「その収入を得るために要した経費」「その他、医療・保険などに要した経費」を取りまとめ、翌年の納税額を確定させるための手続きです。「1年間にどこからどれだけの収入を得たか」を確定させるためには、源泉徴収票が必要です。複数の勤務先からもらったものは、全て取っておきましょう。

<確定申告を必ず行わなければならない人>
下記のいずれかに該当する人は年末調整により所得税等が精算されないため、確定申告が必要になります。

複数の病院に雇用されている*
主たる勤務先以外から収入がある
年収が2,000万円以上

*年度途中の転職は含まない。なお、常勤で雇用されている病院がない場合も確定申告は必要。

※確定申告が必要な条件や、方法などについての詳細は、国税庁のホームページ等でご確認ください。

確定申告の必要があるのに申告しないでいると、忘れた年数に応じて、「無申告加算税」というペナルティが課されたり、悪質とみなされた場合には「脱税」として取り扱われるリスクもあります。
確定申告書の提出期間は毎年2月16日から3月15日(それぞれの日付が土曜・日曜・祝日にあたる場合は翌月曜日)です。社会人の責任として、各自で忘れずに申告するようにしましょう。

【体験談】 複数の勤務先で働いたら、確定申告を忘れずに!(小児科、40代)

臨床研修医時代はアルバイトが禁止なので関係ないかもしれませんが、専門研修以降、アルバイト・副業などで複数の勤務先から収入があった場合、確定申告を行わなければならないことは、覚えておいたほうがいいと思います。
確定申告を期限内に行わないと、延滞税や無申告加算税など、ペナルティが課される場合があります。私の先輩で実際に税務署から連絡が来て、数百万円の税金を払った人もいましたので、注意してください。

② 住民税の納付も忘れないように気をつけましょう

住民税には、納税者本人が納付する「普通徴収」と、勤務先が納税者に代わって毎月の給与から天引きして納付する「特別徴収」があります。医師の多くはアルバイトなどもしているので「普通徴収」となっている場合が多いです。
この場合、確定申告の内容に基づいて自宅に住民税の納付書が届くことになっているため、期限までに支払う必要があります。
ただし、転居先に住民票を異動していない場合、納付書が手元に届かない場合もあります。引っ越しがあるたびに必ず、住民票を居住地に異動させるようにしましょう。
また、住民税は前年の所得を基礎に計算されるので、2年目から支払うことになります。そのため、2年目から急に手取りが減ってしまうこともあります。前年に比べて給与が著しく下がった場合も、納付の負担が大きくなりやすいので気を付けましょう。

【体験談】 所属が変わった年の住民税には注意!(内科、30代)

私の選んだ臨床研修プログラムは、いわゆる「たすき掛け」で、1年目は市中病院、2年目は大学病院で勤務しました。市中病院のほうが給与が高かったため、2年目には給与が下がりました。
さらに、2年目から住民税が天引きされるようになりました。住民税は前年の給与から算出されるため、市中病院時代の給与に応じた税額が引かれるのです。ただでさえ給与が下がったうえに、引かれる税額が多いため、手取りがかなり少なくなってしまいました。1年目は住民税がないこともあって、収入のギャップが大きく、苦労しました。
「たすき掛け」に限らず、異動や休職、大学院進学などで前年より収入が大きく下がると、多額の住民税に苦しむことになる可能性があります。納税のためにも、少し多めに貯金しておくことをお勧めします。


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