船橋二和病院産科病棟主任(助産師) 山田 香さん
妊娠から出産、育児まで一貫してサポート
産科に欠かせない職種である助産師の一番の特徴は、分娩介助を独立して行うことができる点です。助産師資格の取得には、基本的に看護師資格も必要であり、業務も看護師と共通する部分がありますが、分娩介助や内診は助産師にしか認められていません。そして分娩だけでなく、妊婦健診、産後の授乳指導・育児指導、新生児のケアなど、周産期の幅広い業務を担っている職種なのです。今回は、船橋二和病院産科病棟主任の山田香さんにお話を伺いました。
助産師の仕事は妊娠初期から始まります。外来で健診に訪れる妊婦さんが医師の診察を受ける前に問診をし、悩みなどもあらかじめ聞いておきます。さらに船橋二和病院では、異常がない場合には「助産師外来」の形で、妊娠中に3回の健診を行っています。医師は時間もないので、5分程度の診察のことが多いのですが、助産師外来であれば30分の保健指導を行う時間があり、じっくりと悩みを話すこともできます。
「産後のうつや虐待につながるような育児期のリスクを拾い出し、妊娠中から出産後まで継続的にフォローしています。」
助産師が充実している病院では、分娩の経過管理も基本的には助産師が担います。産婦人科医が関わるのは、全体の流れの確認と、異常がないかどうかのチェック。異常があったり、帝王切開が必要な場合は医師が治療にあたりますが、異常のない妊娠・分娩では出産時に医師が立ち会う以外は、ほぼ全ての業務を助産師が行います。
また、この病院では母乳育児にも力を入れていて、退院までの間に母乳育児の基礎を身につけてもらう取り組みもしているそうです。「『家に帰っても自分でやっていける』という自信を持ってもらうことを目標にしています。」
助産師の持つ情報を活かしてほしい
妊婦さんの中には、「先生には言いにくいことだけど…」と悩みを助産師に打ち明ける人もいます。医学的な管理がメインとなり、時間に余裕もない医師の代わりに、そういう悩みも含めた妊娠の経過に寄り添うのが助産師の役割なのです。
「私たちは、お母さんの悩み、家庭環境、性格などを把握して、身体面はもちろん、心理面や家庭生活についてもサポートをしています。しかし、医学的な説明や大事な話は、やはり医師にしてもらった方が妊婦さんや家族が安心するとも感じます。
産婦人科に限らず、今後医師として妊婦さんと関わる機会があれば、是非私たち助産師が持っている情報も聞き取って活用していただければと思います。」
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