10号-11号 連載企画
医療情報サービス事業“Minds”の取り組み(後編)(1)

信頼できる医療情報の発信

みなさんは「診療ガイドライン」を知っていますか?信頼できる診療ガイドラインをWEB上に掲載する医療情報サービス事業Minds(マインズ)の取り組みと活用方法を、2号にわたってご紹介します。

ドクタラーゼ10号の記事では、EBM(Evidence Based Medicine)の実践のため、診療ガイドライン(以下、ガイドライン)が重要な役割を果たすことを紹介しました。世界中で行われている臨床研究の成果をまとめ、治療に対して推奨を出してくれるのがガイドラインです。しかし、ガイドラインの役割はそれだけではありません。今回は、前号とは違った視点でガイドラインを見てみましょう。

あなたが根拠をもとに診断し、治療法を提示したのに、その患者さんが、テレビや雑誌、インターネットで集めた情報をもとに反論してきたら、どう思うでしょうか。根拠のない情報を信じ込み、聞く耳をもたない患者さんに困り果てる、あるいは腹を立てるかもしれません。
しかし、患者さんの立場に立ってみたらどうでしょう。病気になったと知ったら、誰でも藁にもすがる思いになり、ありったけの情報を集めようとしてしまうのではないでしょうか。そして、今の世の中には、病気やその治療に関する情報があふれています。何が正しいのかわからなくなり、医師の診断や治療方針をすぐに信用できない患者さんが出てくるのも、やむを得ないことなのかもしれません。
とはいえ、メディアに出回っている医療に関する情報は玉石混淆です。医師の立場としては、どうすれば患者さんと上手にコミュニケーションをとれるのか、悩むこともあるでしょう。
そんなとき、頼りにできる一つの手段がMindsなのです。前号に引き続き、日本医療機能評価機構特命理事の山口直人先生、同機構EBM医療情報部部長の吉田雅博先生にお話を伺いました。

患者さんと協働して意思決定するために

――医師と患者さんがコミュニケーションをとるうえで、ガイドラインはどのように役立つのでしょうか。

山口先生 山口(以下、山):ガイドラインは、医師と患者さんが協働して意思決定をするための助けになってくれる存在だと言えると思います。
テレビやインターネットを通じてたくさんの情報に触れた患者さんと話をしようとしたとき、間をとりもってくれるものが何もないと、コミュニケーションがうまく成り立たない可能性があると思います。様々な情報を手にした患者さんは、目の前の主治医を心から信じることができず、いつまで経っても話が平行線を辿ってしまうかもしれません。医師にとっての当たり前は患者さんにとっては当たり前ではありませんし、逆もまた然りです。何かひとつ、双方が信じられるもの、立ち返るところがないと、立場の異なる者同士が協働して意思決定するのは非常に困難なのです。私たちは、そんなときこそMindsを活用してほしいと思っています。

吉田(以下、吉):Mindsでは、医療者だけでなく、患者さんに対しても情報提供を進めているんです。ホームページでは一般の方向けに、ガイドラインのわかりやすい解説や、医療に関する基礎知識を掲載しています。Mindsに掲載されているのは多くの専門家によって厳選された情報ですから、医師にとっても患者さんにとっても、信じるに足る根拠になるはずです。

やさしい解説
(図)患者さんやご家族の方向けに、わかりやすい言葉と図や表で医療の基本知識について解説している。


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