多様性を認め、働き続けやすい環境をつくる
~日本医師会男女共同参画委員会 
前委員長 小笠原 真澄先生~(前編)

近年の女性医師の増加に伴い、出産・育児・介護と仕事の両立が可能な勤務環境の整備が、医師の世界でも課題として認識されるようになりました。夫婦共働きが当たり前となる世の中で、家庭内のケアワークと仕事とを両立できる勤務環境をつくることは、男性・女性にかかわらず業界全体で取り組んでいくべきテーマです。日本医師会では、男女共同参画委員会を設置し、男女共同参画の推進、ワークライフバランスの実現に向けて検討を重ねてきました。平成20年には 「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」を実施し、平成25年は「男性医師の男女共同参画についての意識調査」を行いました。(両報告書は、日本医師会のWEBの「女性医師」コーナーで公開されています)
今回は、この男性医師の意識調査の結果を、男女共同参画委員会前委員長の小笠原真澄先生に読み解いていただきます。

小笠原先生語り手:
小笠原 真澄先生
日本医師会男女共同参画委員会 前委員長
秋田県医師会理事

男性医師も育児休暇を希望

――今回の調査は、どのような目的で行われたのですか?

小笠原(以下、小):女性医師が働き続けるためには、上司・同僚・パートナーである男性の意識も非常に重要です。しかし、男性医師の男女共同参画に対する意識の調査は今まで行われていませんでした。そこで、「男性医師の男女共同参画に対する意識調査」を行うこととなりました。全国の臨床研修病院に2万1400部を配布し、6948名の男性医師から回答を得ています。

――調査の内容はどのようなものだったのですか?
小:「男女の地位についての認識」、「自身の勤務状況や育児・介護などの経験」、「家庭での家事分担」などを調査しました。
「男女の地位についての認識」に関する設問では、社会全体については「男性のほうが優遇されている」、「どちらかといえば男性の方が優遇されている」という回答を合わせると、60数%の男性医師が男性の方が優遇されていると考えており、「男女は平等」と答えたのは13.2%でした。対して、医師の職場においては43.2%の男性医師が男女は平等だと感じていました。

1 ――社会全体に比べると、医師の職場では男女は平等だと捉えられているのですね。
小:しかし、男性の育児休暇の取得については、社会全体とあまり変わらない結果が出ました。育児休業を取得した男性医師は、回答者の2.6%にあたる110名にすぎず、「取得の希望はあったが言い出せなかった」という男性医師が524名いました(図1)。
厚生労働省が臨床研修修了後の医師に対して行った調査によると、男性医師の5割弱が育児休暇をとりたいと考えているという結果が出ています。希望はあるのに育児休暇をとれていない男性医師は多いようです。

1――男性医師は、何が原因で育児休暇を取得できていないのでしょうか。
小:大きな原因として、長い勤務時間が挙げられると思います。3400名中3104名が、「仕事の比重が重く、家事や育児にはかかわれない」と答えています。勤務時間は、62.4%の医師が12時間~15時間、14.9%の医師が15時間~18時間と答えていますから、8割近くの医師が長時間労働を余儀なくされていることになります(図2)。

 

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