木津川市社会福祉協議会
コミュニティソーシャルワーカー 中尾 和恵さん
専門家と地域住民をつなぐ
入院している方が退院して地域に戻る時、介護保険が適用される高齢者であればケアマネジャーが、障害者であれば障害者支援センターの職員がそれぞれ相談に乗ります。けれど、どこに相談したらいいか分からない、例えば退院できるけど帰る家がない場合など、最初にその相談に乗ることが多いのが社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカー(Community Social Worker, CSW)です。
今回は京都府の木津川市社会福祉協議会でCSWとして働く中尾和恵さんにお話を伺いました。
CSWは身体的・精神的なハンディキャップなどにより社会の中で孤立した人や、日常生活を送るのが困難な人に対して、本人やその家族が抱える課題を解決し、より良い生活が実現できるように援助する専門職です。
「私たちは医師ではないので医療の詳しい知識はありませんし、ケアマネさんのように介護保険に詳しくもありません。けれどその場のニーズに合わせて、求められている専門家と地域住民の方を適切につなぐことに専門性を発揮しています。」
地域の社会資源も活用する
以前、認知症の父親と同居をする精神疾患を持った50代の女性について、病院から相談があったと言います。娘さんが自宅に戻っても大丈夫か、一度面談に来てほしいという依頼でした。
このようなケースでは、CSWはまずその人が日々の生活を不自由なく送るためにはどんな公的サービスが必要なのかを判断します。ヘルパーをどれくらいの頻度で入れるのか、通院するために福祉送迎が必要なのかなどを決め、必要なサービスが漏れなく行き渡るように手配し、さらに公的なサービスではカバーしきれない部分に関しては、地域の社会資源を活用することも考慮しています。
例えば日々の見守りについて、ヘルパーが訪問できないお正月の期間は地域の福祉委員さんにお願いして、交代で見守りにいってもらうなどの工夫をしました。
「日頃から福祉委員さんとは密に連絡を取っているので、お願いしたら快く引き受けて下さり、お餅を持って様子を見に行って下さいました。このように、公的なサービスと地域の社会資源の両方を調整できるのが、私たちCSWの持ち味ですね。」
生活する本人の声を活かす
病院で過ごす時間が短くなり、家に帰って医療を受ける患者さんが多くなっている昨今、在宅医療に関わる職種は多岐にわたります。そのなかで、それぞれの職種が患者さんのためを思って提案することが、結果として本人を混乱させることもあると言います。
「どうしても専門職って、専門職本位のプランを立ててしまいがちだと思います。そのなかで私たちができるだけ本人の声を聞いて、本人が地域での生活を送るにあたって一番良い形を整えてさしあげたいと思っています。」
※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。
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