大学紹介

東京大学

【教育】医学分野の国際的リーダーの育成

東京大学 医学部 教務委員会委員/疾患生命工学センター 講師 細谷 紀子

先生

東京大学医学部は、安政5年(1858年)に神田のお玉ヶ池種痘所として発祥し、160年近い歴史と伝統を有しています。教育目的を「生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材を育成することにある。すなわち、これらの分野における問題の的確な把握と解決のために創造的研究を遂行し、臨床においては、その成果に基づいた全人的医療を実践しうる能力の涵養を目指す。」と定めており、その目標を達成するために、独自の特色ある教育プログラムを推進しています。

本学では、大学入学後の約1年半は教養学部において幅広く一般教養科目を学びます。医学部では、医学を志す教養学部生を対象に、「Medical Biology入門」の講義、「医学に接する」ゼミナールなど、最先端の医学研究や医療に触れることのできる機会を提供しています。2年次の秋からは医学の専門科目の講義・実習が始まります。3年次までに基礎医学の科目を、4年次に臨床医学、社会医学、医学英語などの科目を履修します。そして、4年次の冬に行われる共用試験(CBT、OSCE)に合格後、6年次までクリニカルクラークシップ(参加型臨床実習)に参加します。

本学は研究マインドの涵養のための教育に力を入れており、カリキュラムの中に研究に集中できる期間を複数用意しているのが特徴です。例えば、2〜4年次の「フリークオーター」や5〜6年次の「エレクティブクラークシップ」では、1〜3か月間、希望する研究室に出入りして研究に専念することができます。医療現場での実習も可能です。これらの機会を利用して、海外の研究室や医療機関で実習を受ける学生が毎年多数います。また、「Ph.D.-M.D.コース」「MD研究者育成プログラム」「臨床研究者育成プログラム」という3つの研究者育成プログラムも設置されており、多くの学生が自発的に参加し、日夜実験に励んでいます。

【研究】研究は楽しい! 発見の喜びから未来の医療へ

東京大学 医学部 MD研究者育成プログラム 室長 尾藤 晴彦

今日の医学において、診療と研究は表裏一体をなしています。すなわち、「目の前の患者における危機の解消」と、「現時点で解消できない疾患・健康医療問題の未来における解決」を同時に実行していかないと、超高齢社会における多様化する医療ニーズに応えられないことは明らかです。医学部とは、いわば車の両輪である医療と医学研究に従事する人材育成の場であるべきなのです。このような考え方のもとに、東京大学医学部ではMD研究者育成プログラム室を設置し、医学部在学中から「正規の課外活動」として、「未来の医療の礎を築くための研究」に医学部生が主体的に参加することを奨励しています。

実際に、医学研究は極めて学際的です。各々の疾患の病態解明と、合理的デザインに基づく根本治療薬創出のためには、数多くの研究者の好奇心に基づく幅広い基礎研究の背景がないと、全く歯が立たないのです。2016年ノーベル医学・生理学賞受賞に輝いた、大隅良典先生によるオートファジーのメカニズム発見は、好奇心に導かれた基礎研究こそが医学の先導となるのだという、わかりやすい一例と言えます。

研究のルールは明快です。丁寧に実験を行い、オリジナルのデータを発表すれば、世界中の研究者に認めてもらえます。「目の前の患者とその病から謙虚に学び、そこで得た着想を発端に研究を進め、医学・医療の向上に貢献したい」という気持ちから、プレッシャーを感じることもあるでしょう。しかし、「学び」から「貢献」までのプロセスには多くの「発見の喜び」があります。研究者同士の楽しい交流も豊富にあります。このことを医学部生として実感しておくと、その後いかなる医学研究上の難関に遭遇しても、きっと自信を持って、乗り越えられると信じています。勇気を持って、第一歩を踏み出しましょう!

【学生生活】アカデミックな環境で、自分の学びたいことを究める

東京大学 医学部 6年 後藤 愛佳  
同 5年 秋山 果穂

後藤:私は昔から医学研究に興味があったので、研究に強いイメージがある東大を受験しました。東大にはMD研究者育成プログラムという、学部生の頃から基礎系の研究室に通うプログラムがあります。医学科の専門科目の履修開始に先がけて、1年生のうちからプログラム主催で分子生物学の教科書の輪読会などが開かれ、基礎医学に触れる機会が与えられます。通常の授業と並行しての研究は大変ではありましたが、以前から興味があったヒトの記憶についての研究に自ら長期的に挑戦することができ、とても充実していました。

秋山:私は今5年生で、病院実習がとても楽しいです。それぞれの科で、やってみたいことや知りたいことを、納得するまでとことん教えていただいています。東大では5~6年生の間に、エレクティブクラークシップという自由選択期間が与えられていて、最低2か月間、興味がある科や海外の病院を選んで実習することができます。私はこの期間のうち1か月を東大病院の救急部での実習に充てました。他の科では診断がついて治療方針も決まった患者さんを診ていましたが、救急ではどんな患者さんが来るか分かりませんし、私が患者さんから聞きとった内容がその後の検査や治療に結びつくこともあり、とても責任を感じる実習でした。

後藤:エレクティブクラークシップの期間は基礎医学の研修に充てることもできます。私は、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の共同研究機関であるブロード研究所と、スタンフォード大学の基礎系の研究室に行き、iPS細胞やES細胞を神経細胞に分化させ、培養する手法等を学びました。最先端の研究や設備に触れ、世界各国から集まった熱意ある研究者たちが互いに切磋琢磨している環境に身を置くことができ、とても刺激を受けました。

※医学生の学年は取材当時のものです。

 

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