大学紹介
佐賀大学
【教育】良き医療人を育てる
佐賀大学 医学部 副医学部長(教育担当) 倉岡 晃夫
佐賀大学医学部の前身となる佐賀医科大学は、「地域医療に貢献できる、良き医療人の育成」を基本理念に掲げ、当時としては先進的な医学教育カリキュラムを擁する“教育先導大学”として昭和51年に開学しました。平成14年には、臨床推論を重視したハワイ大学方式のPBL(問題解決型学習)教育を3・4年次の臨床医学教育に全面的に導入し、現在はこれにTBL(チーム基盤型学習)を組み合わせることで、学生主体の自己学習効果をさらに高める工夫がなされています。また、医師が有すべき人間性を培う目的で低学年から体験実習が実施され、最近では地域枠入学生を対象とした特別プログラムも導入されました。研究に対する興味など、学生のニーズに対応した分野を自主的に発展させていける選択制の研究室配属コースや海外研修コースも開講されています。パソコンや電子白板、プロジェクター等が設置されたグループ学習用の26室は、午前0時まで1年中開放されており、多くの学生たちが休日・深夜を問わず熱心に勉学に励んでいます。開学当初から続くチューター制度では、全教員が一丸となって学生のサポートに携わっており、きめ細やかな指導・支援がなされています。カウンセラーが学内に常駐するなど、学生のメンタルヘルス対策に一歩進んだ取り組みを行っているのも特色です。以上のような良医育成のための充実したカリキュラムと学習環境、そして盛んな部活動で心身共に鍛え上げられた学生は、2016年の医師国家試験で国立大学法人中トップの合格率を達成しました。
開学から40年を経て老朽化が進んでいた建物も、改修工事が完了してピカピカに生まれ変わりました。有名なバルーンフェスタの季節には、佐賀平野の秋空に色とりどりの熱気球が浮かび、見る者の心まで舞い上がりそうです。この佐賀の地で皆さんとお会いできれば幸いです。
【研究】地域包括医療向上への研究に重点
佐賀大学 医学部 副医学部長(総務・研究担当)横山 正俊
本医学部の理念は、教育・研究・診療の三つの使命を一体として推進することです。医学部の教育と研究は、附属病院の臨床活動と深く連携しており、基礎医学と臨床医学が講座などの垣根を越えて相互に協力しながら研究を行い、医療の発展に寄与できる環境をつくるよう心がけています。さらに、医学・医療の発展と地域包括医療(地域社会及び各種の医療関係者が連携し、一丸となって実践する医療)の向上に寄与する研究(地域連携・生活習慣病・アレルギー・悪性腫瘍・難治性疾患など)に重点をおいています。地域に根ざした研究の例としては、肝臓がん死亡率15年連続全国1位の状況をふまえ、その改善のための多職種協働啓発モデルの構築を行い、全国規模での肝疾患啓発・医療連携推進のモデル構築を進めています。また、佐賀市民約1万2千人を20年間にわたって追跡し、環境要因と遺伝的素因が相互的にがんなどの生活習慣病の発生に与える影響を検討しています。さらに、バイオ3Dプリンターを用いた人工血管の開発やロボットを使ったリハビリテーションの新たな試みなどが成果をあげています。また、全国規模での医師主導型臨床試験による慢性骨髄性白血病に対する新規治療法の開発、全身性自己免疫疾患に対する新規B細胞標的療法の開発、間質性肺炎の診断マーカーの開発、低用量アスピリンによって発症する胃・十二指腸潰瘍に対するプロトンポンプ阻害薬の再発抑制効果、分子生物学的手法による胃がんに対する腹腔鏡ロボット支援手術の有用性の検討など難治性疾患や悪性疾患臨床に関する研究成果もあがっています。ゲノムインプリンティング疾患、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、アレルギー疾患などの発生機序の解明などの基礎的研究も行われています。その他も基礎医学と臨床医学の融合を図りつつ、地域包括医療の向上にむけ、様々な研究が行われています。
【学生生活】「みんなで楽しく」相互に学びあう環境
佐賀大学 医学部 6年 松尾 和紀
同 5年 大武 瑞樹
大武:佐賀大の医学部は、男女比が半々なんです。高校時代は女子の少ない理数科だったので、入ったときは「味方がいっぱい!」って感じで嬉しかったです(笑)。
松尾:「佐賀大は教育が手厚い」と高校の頃に先輩に聞いて、佐賀大を選びました。1・2年生の時に、実習で患者さんとお話ししたのがとても印象に残っています。今自分が学んでいることは将来につながるのだなと感じられて、モチベーションが上がりました。
大武:実習の後には、実習内容の反省点や良かった点について発表を行います。PBLなども「やって終わり」ではなく、必ず振り返りやフィードバックの時間が設けられているのがいいなと思います。
松尾:私は、学年の枠を超えてみんなで勉強をする「勉部(BENBU)」を立ち上げました。医学部の勉強は、本来は面白いはずだけど、一人でやっていると苦しくなってしまうこともある。なので、1.勉強を楽しむこと、2.勉強の楽しさを共有すること、3.そしてそれを発信すること、という3つをコンセプトに、活動を始めました。
大武:勉部では、例えば「睡眠障害」のようなテーマを決めて、担当者がプレゼンをします。プレゼン後のディスカッションで、1年生ならではの視点からの鋭い質問が出てくることもありますし、後輩に教えることで自分の復習にもなるので、とてもいい仕組みだなと思います。プレゼンの手法についてのフィードバックもあって、すごく勉強になります。
松尾:勉部の活動を通じて、学生のうちは後輩に、医師になったときには患者さんに、医学部で学んだ知識を還元していきたいな、と思っています。
※医学生の学年は取材当時のものです。


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