FACE to FACE
interviewee 中尾 茉実 × interviewer 佐伯 尚美

佐伯(以下、佐):中尾さんが実行委員長を務めた2016年10月の東北大学医学祭に、私もいち実行委員として参加しました。医学祭はおよそ3年に一度の開催ですが、私は次回も実行委員として関わりたいと思っています。今日は、医学祭を振り返ってのお話を色々伺いたいです。まず、今回の医学祭のテーマである「医親伝心」に込めた思いについて教えてください。
中尾(以下、中):医学祭は、市民と医学部生の交流の場だよね。今年は、地域の皆さんがより医療に親しんでもらえて(医親)、医学部生とコミュニケーションをとって心を通わせられるように(伝心)ということを目指してテーマを決めました。
個人的に意識したのは、大人だけではなく子どもにも楽しんでもらえるようにということ。前回の医学祭では、小さいお子さんがたくさん来てくれたのに、子ども向けの企画が少なかったという反省があって。だから今回は、人体模型組み立て競争をはじめ、ぬいぐるみを患者さんに見立てた「お医者さんごっこ」を通じて体や健康に興味を持ってもらおうという「ぬいぐるみびょういん」を新たに企画するなど、工夫を凝らしました。
佐:前回の医学祭での経験が活きているんですね。
中:そうだね。前回は、医学部の中でも医学科主体の企画ばかりになってしまったという反省もあったんだ。今回、保健学科を中心に、産道通過体験や妊婦体験ができる「出産と子供の発達」という企画ができたのはすごくよかったなと思ってるよ。
佐:私は次回の医学祭で広報を担当したいと考えているのですが、広報は実行委員長と同じように、全企画を見渡していないとできない仕事だと思うんです。中尾さんは全体を見渡しつつ、細かい所まで気を配っていらして、すごいなと思っていて。ご自分では、もともとリーダーに向いていたと思いますか?
中:いや、そんなにリーダー適性があったとは思わないよ。人に頼むより、自分でやってしまった方が早いんじゃないかっていうタイプだったし(笑)。ただ、以前東医体で主管を務めさせてもらったときに、一人で全部やるんじゃなくて、周りにお願いした方が良い結果に結びつくって学んだんだよね。大変さもあるけど、一人でやるよりみんなでやった方が楽しいし、より大きなことを達成できるから。
佐:実行委員が70人もいれば、コミットメントが高い人も低い人もいたと思うのですが、全員に協力してもらうために心がけていたことはありますか。
中:とにかくみんなと仲良く、いい関係を築こうということかな。普段からうまくコミュニケーションをとれていると、不安なことがあったときにも、お互いに相談しやすくなるからね。そのために意識していたのは、感謝の気持ちを大げさなくらい伝えるようにすること。思っているだけじゃ伝わらないから、できるだけ「ありがとう」と口に出すようにしていました。
佐:今回が大盛況だったので、次回の医学祭を担うのはちょっとプレッシャーです(笑)。
中:過去を意識しすぎなくていいと思うよ。今回のコンセプトを引き継いでもらっても、全然別の方向に進んでもいい。みんなで仲良く、自分たちの医学祭を作ってくれたら嬉しいな。
佐:そうですね。個人的には、保健学科はもちろん、同じキャンパスにある歯学部なども巻き込んでいけたらいいな、と思っています。今日はたくさんお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
中尾 茉実(東北大学医学部5年)
1993年東京都生まれ。私立桜蔭高等学校を卒業後、東北大学医学部医学科に進学。第58回東医体では、東北大学医学部運営部運営部長を務め、主管校として円滑な大会開催に尽力。5年次には、女性として初めて東北大学医学祭の実行委員長を務め、成功に導いた。尊敬する人物はミュージシャンの甲本ヒロトさん。
佐伯 尚美(東北大学医学部2年)
医学祭の成功は、間口を広げようとアクティブに活動された委員長なしにはなしえなかったことだと実感しました。コミュニケーションを大切にする姿勢は、上に立つ者として必要だと思いますが、自分にできるかと言われると不安です(笑)。次回の医学祭実行委員にとって、中尾さんは間違いなく追いかける背中ですし、積極的に新企画へチャレンジして先輩を追い越せたらと思います。



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