医学生 × 官僚
同世代のリアリティー

「国」を動かす官僚の仕事 編(前編)

医学部にいると、なかなか同世代の他分野の人たちとの交流が持てないと言われます。そこでこのコーナーでは、医学生が別の世界で生きる同世代のリアリティーを探ります。今回は「官僚として働く」をテーマに、医学生3名(医A・B・C)と、国家公務員総合職として働く社会人3名(社D・E・F)で座談会を行いました。

今回のテーマは「『国』を動かす官僚の仕事」

「官僚」と言うと、自分にとっては縁遠い存在に思われる方も多いかもしれません。今回は、医学生が若手官僚と、仕事に対する熱い思いを語り合いました。

途上国の国際開発援助に興味があった

医A:Dさんは外務省にお勤めとのことですが、どうして外務省を志望したんですか?

社D:私は、もともと国際開発に興味があったんです。大学時代、JICAの国際開発プロジェクトに関わる先生から指導を受けていて、東南アジアやアフリカの農村開発や漁業の技能向上について学んでいました。卒業後の進路について考えたとき、その興味のままに、ODAを扱っている外務省を目指したんです。民間企業への就職活動も行ったのですが、利益を追求する風土が自分になじまないように感じて、公務員の方がいいな、と思いましたね。

医B:外務省に入ると、国際開発にどのように関わることができるのでしょうか。

社D:私たち官僚は、どの国や地域で、どんなプロジェクトを行うかといった大枠を決める仕事をしています。私たちが現地に赴くこともないわけではないですが、基本的には、様々な調査の結果をもとに、どういうプロジェクトにどれだけの予算をつけるかを決定するところを担当します。実際に現地でプロジェクトを実施するのは、JICAやNGO、企業の皆さんです。

2年目から民泊の制度設計に関わる

医C:Eさんは国土交通省ということですが、どんな仕事をされているんですか?

社E:最近不動産関連の部署に移ったのですが、この4月までは観光庁に所属していて、民泊に関する制度設計の仕事をしていました。

医B:オリンピックの開催決定以降、民泊という言葉を聞くようになりました。すごくホットな分野ですよね。

社E:そうですね。そもそも「民泊」という言葉の定義さえ元から定まっているわけではないのですが、すでに様々なサービスが出てきているのが現状です。いろいろな意見をお持ちの方がいらっしゃって、非常に調整の難しい分野でしたね。海外では進んでいるし、ビジネスチャンスだからどんどんやろうという方もいれば、隣家が民泊になるとうるさくて困るという立場の方もいらっしゃいます。国民の生活に大きな影響を与えずに、観光需要にも応えていかないといけないという難しさがありましたね。

社F:訪日外国人の数は増加していて、宿が足りていないのは事実ですからね。

社E:ニーズが先行しているので、早く方針を示して制度設計をする必要がありました。仕事はスピーディーに進んでいき、新人職員の私でも、重要な文章の第一ドラフトを作らせてもらうといったこともありました。当時は大変だと感じることもありましたが、今になって考えると、若手ながら重要な仕事に関わる機会を頂けて、貴重な体験だったと思います。

地方の暮らしの課題を解決したい

医C:Fさんは今年厚生労働省に入られたんですよね。なぜ厚生労働省を選ばれたんですか?

社F:私の出身地は、中国地方の田舎町なんです。高齢化が進み、どんどん人口が減少していくなかで、これから自分の地元はどうなっていくのか、ということに問題意識を持っていました。

社E:まさに日本全国に共通する課題ですね。

社F:そうなんです。医療・介護・子育て・雇用も含めた地域の暮らし全体に関わることで、地元に限らず日本全体に貢献できればいいなと思い、厚生労働省を志望しました。

医A:確かに、厚生労働省には子育てや雇用に関わる仕事もあるんですよね。僕たちとしては、新人官僚の方が、医療についてどんな課題があると感じているのか聞いてみたいです。

社F:私はまさに医療政策を担う部署の配属なのですが、医師の偏在は大きな課題だと思っています。一部の地域では、数少ない医療機関や医師がなんとか医療ニーズに応えているのが現状で、ちょっとしたきっかけで医療提供体制が維持できなくなるリスクがあります。地域によっても診療科によっても、医師の数にはかなり偏りがあるので、いかに必要な場所・分野で医師を確保するかというのが課題だと感じます。

医B:医師不足の件は、私たちもよく耳にします。けれど、どこの地域も分野も「医師が足りないから来てください」と言っているような感じがして、どんな偏りがあるかも学生には明確にわからないんですよね。そういうことも伝えてもらえたらありがたいですね。

同世代

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