
日本医師会副会長の一日(前編)
平成25年6月某日(晴れ)
7:00 永田町のホテルルポール麹町で始動 岸田文雄外務大臣の勉強会に出席
8:00 赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京着 額賀福志郎元財務大臣の勉強会に出席
日本医師会役員の一部は、政治団体である日本医師連盟の役員を兼務しています。今村副会長は日本医師連盟の役員として、政党を問わず様々な国会議員の懇談会等に出席し、政治とのパイプを作っています。
8:20 ホテル発
8:40 診療所着
8:45 診療開始
役員としての朝の仕事が終わると、急いで診療所に戻ります。診療開始は9時ですが、患者さんは8時半頃から来ているため、看護師が事前の問診を行い、今村先生が到着次第、診療が始まります。診療所には、地域の高齢者が多く訪れますが、医師会の役員となって午後の診療ができなくなったことで、患者数は減っているそうです。
11:20 診療を終え、タクシーで再び移動
11:45 永田町の蕎麦屋に到着
12:00 自民党青年局と、日本医師会将来ビジョン委員会有志の昼食会
昼に医師会の予定が入っているときは、12時前には午前の診療を終えて再び移動します。この日は、日本医師会将来ビジョン委員会の有志と、自民党青年局に所属する国会議員の昼食会。青年局長の小泉進次郎氏を交えて、日本の医療について活発な意見交換を行いました。
13:10 懇談会終了、タクシーで次の会議会場に移動
14:00 内閣府・死因究明等推進計画検討会に出席
17:00 タクシーで虎ノ門のホテルオークラ東京に移動
昼の懇談会が終わると、次は内閣府における外部審議会が待っています。この日は、死因究明制度についての検討会。タクシーでの移動中は、電話やメールチェックに充てることがほとんどです。移動中や会議の待ち時間も、重要な執務時間となります。
17:15 ホテルオークラロビーにて、日医総研担当者と打ち合わせ
18:00 日本商工会議所の役員と会食
20:35 会食終了、タクシーで診療所に移動
3時間の会議が終わり、次の会食会場のホテルに移動。この日は外での用務が多く、日本医師会館に戻ることができないため、翌日の会議について、日医総研の担当者とホテルで打ち合わせを行いました。その後、日本商工会議所の役員との会食。経済団体とも、積極的な交流を行っています。
20:55 診療所着、様々な用務をこなし、翌日の準備(着替え)を済ませる
21:35 診療所発、タクシーでザ・キャピトルホテル東急に移動
22:15 ホテル着
毎日のように会食がありますが、下戸のためアルコールは口にせず、終了後はほぼ必ず診療所に戻ります。診療所に戻ると、その日の診療録を確認し、郵便物のチェックや翌日の診療の準備を行います。
この日は、翌日も朝から医師会の用務があるため、着替えを済ませて再びタクシーに乗り込み、都心のホテルに向かいます。ホテルでは、翌朝の会議でプレゼンする資料を読み込み、就寝前にはゆっくりとお風呂につかることでリラックスしているとのこと。長い一日、おつかれさまでした。

日本医師会副会長の一日(後編)
一週間のスケジュール

※平成25年3月某週のスケジュールを参考に作成しています。
国民の健康と医療を守るために
医療提供体制を維持するには、医師がより良い医療を提供できる環境を整備し、過酷な労働環境に置かれるのを避け、その仕事に見合った報酬を得られるようにする必要があります。そして、各地の医療機関が安定経営できる制度を作り、新たな問題が出てきた時に迅速に対応することが求められます。日本医師会は主にこうした環境整備や制度整備に携わっていますが、「国民の健康と、医療提供体制を守る」という理念は変わらないのです。
日本医師会は32人の役員(うち常勤14人)の他に、日医総研というシンクタンクを持ち、約200人が働く事務局を持っています。ですが、それらの組織だけでは、日本の医療全体をカバーしていくのは難しいというのが現状です。そこで、様々な問題に対応するために、多くの委員会を組織しています。この委員会のバリエーションが、すなわち日本医師会が取り組んでいる問題の全体像と言えます。下にその例をリストアップしてみました。
これらの委員会には、それぞれの分野で活動している医師が、研究者・勤務医・開業医の区別を問わず参加しています。医師会としての意見を取りまとめ、必要があれば行政に働きかけを行っています。
学生のみなさんは、今は「医師会活動なんて自分には関係ない」と思うかもしれません。しかし臨床研修制度や、勤務医の労働環境についても日本医師会の提言は影響を及ぼしますし、専門医制度に関しても様々な委員会・組織が設計に関わっています。みなさんの医師としてのキャリアにも、医師会は大きく関係しているのです。
日本医師会では、医療に関する様々なテーマについて以下のような委員会を設け、議論・提言を行っています。
医療政策会議/生命倫理懇談会/学術推進会議/定款・諸規程改定検討委員会(プロジェクト)/日本医師会綱領(仮称)検討委員会(プロジェクト)/会員の倫理・資質向上委員会/生殖補助医療法制化検討委員会(プロジェクト)/日本医師会COI指針策定検討委員会(プロジェクト)/生涯教育推進委員会/学術企画委員会/医師会将来ビジョン委員会(プロジェクト)/勤務医委員会/勤務医委員会臨床研修医部会(プロジェクト)/勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会/男女共同参画委員会/女性医師支援センター事業運営委員会/社会保険診療報酬検討委員会…など計52委員会(平成24・25年度)
厚生労働省や内閣府をはじめとした官公庁審議会の委員や、財団法人などの団体の役員として、医師の立場からの意見を発信しています。
医道審議会/社会保障審議会/薬事・食品衛生審議会/厚生科学審議会/新型インフルエンザ専門家会議/男女共同参画推進連携会議/自殺対策推進会議/食品安全委員会/野口英世アフリカ賞委員会…など



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