FACE to FACE
interviewee 峯 昌啓 × interviewer 阪田 武

阪田(以下、阪):峯さんは、周囲を巻き込んで鳥人間コンテストを目指してみたり、ラーメン屋やカレー屋を経営したりと、いつも面白そうなことをやっているなと思っていました。
峯:医学部の6年間を、学校・部活・アルバイトだけで過ごしていては、広い視野は育たないなと思っていました。それで、もともと経営に興味があったので、医学部の友人数人とラーメン屋台を始めたんです。すると面白がってお店の場所を提供してくれる人が出てきて。それで今度は大学近くで町おこしを兼ねて、町屋を改修したカレー屋を始めたり、塾を経営したり…と、次第に活動の幅が広がってきたんですよね。
阪: そんな峯さんは現在、Nara IPECH―奈良の医療介護の連携を考える学生の会―で、「学生から育てる、10年後の地域包括ケア」を合言葉に、医療介護系学生の多職種連携教育を通じて、将来地域包括ケアシステムの中で活躍する人材育成を目指す活動をしていますね。
峯:奈良県の「県内大学生が創る奈良の未来事業」のコンペを学務課の方から教えていただいて、挑戦したのがきっかけです。そのときに周囲と議論して出たテーマのひとつが多職種連携でした。県の課題である2025年問題に対して、2025年に医療や介護を提供する側自身が主体となって、学生のうちから多職種連携のベースを作っていくことが大切だと思いました。奈良県には多職種の養成過程をもつ大学がありません。だから、異なる専門性を持った学生が集まって勉強する機会を作るといいのではないかと考えたんです。
阪:僕も多職種連携の勉強会をやっていますが、勉強するまでは職種ごとに強みがあって、同じ問題に対しても違う視点を持っていることは知りませんでした。異なる視点を持っていることが、多職種連携の価値ですが、同時に、コミュニケーションにおいては視点や言葉の違いによる難しさもありますね。
峯:そうですね。でも、学生同士だからこそ、わからないことは気軽に聞けるし、背負うものもなく、楽しみながら学びあえると思うんです。そうやって学生の頃から顔を合わせて、お互いを知っていれば、現場に出てからも自然に声をかけられるんじゃないかなって。
阪:今後の活動の展望や、アイデアを教えてください。
峯:僕個人としては、医学生の留学を促進するような仕組みがあるといいんじゃないかと思っています。5年生のときにタイに留学して、海外でも在宅医療等に関して日本と似た問題に直面していて、国ごとに違った考え方をしていることを知りました。また、イギリスの家庭医や国民保健サービスのことを勉強して、様々な職種が地域コミュニティと連携して、その地域に必要な医療を提供していることを知って多職種連携により面白さを感じるようになったんです。海外の医療制度を学んだり、実際に留学することは、医学生が日本の医療の未来を考えるきっかけになると思います。
春からは奈良を離れて研修医になりますが、僕たちが2025年問題に対して答えを出す10年後まで、Nara IPECHの活動を発展させていきたいと思っています。今後は、PDCAサイクルでいうと、Cのチェックの部分で関わるつもりです。鍵になるのは、事業の継続性と参加者の主体性の両方を保つことですね。実際に連携を体感する機会を作ったりしながら、楽しく勉強することを意識して今後も活動を続けたいです。
阪田 武(奈良県立医科大学6年、アジア医学生連絡協議会日本支部(AMSA Japan)元代表)
峯さんとは同級生ですが、今回、初めて彼の活動について深く聞くことができました。次々と活動の幅を広げるその行動力に感銘を受けました。
峯 昌啓(奈良県立医科大学6年)
Nara IPECH代表。2015年に開催された第3回医学生・日本医師会役員交流会において、学生プレゼンテーションの最優秀賞を受賞。「『金はないけど、行動力はある!』をモットーに友人と活動してきました。」



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