医学生の交流ひろば

医学生座談会
~CBTを終えて~

コロナ禍で、医学生同士が集まる機会が少なくなった昨今。日頃なかなか話すことができない本音を語り合うために、医学生が主体となってオンライン座談会を開きました。

CBTの率直な感想

真野(以下、真):医学生が臨床実習を受けるためには、実技試験のOSCE*1と、コンピューターを用いて行われる知識問題の選択試験CBT*2に合格しなければなりません。今回は、CBTについて振り返ってもらうため、様々な大学の4年生の皆さんに集まってもらいました。

出口(以下、出):まず、CBTを終えての皆さんの率直な感想を聞かせてください。

印南(以下、印):私は予定よりもCBT対策の勉強を始めるのが遅くなってしまったのですが、目標得点を越えることはできました。目標得点をあまり高すぎない設定にしていたこともありますが、直前期に精神的に追い詰められることもなかったので、結果に満足しています。

徳田(以下、徳):僕も定期試験などの目の前の課題に気を取られて、CBT対策の勉強はどうしても後手に回ってしまいました。まだ結果が出ていないものの、いつも通り解けたかなと思っています。

和田(以下、和):僕は、結果自体は悪くはなかったのですが、目標としていた得点に届きませんでした。CBTのための勉強は半年前から始めていたのですが、効率が悪かったかなと反省しています。

宮﨑(以下、宮):僕もCBT対策の勉強を始めたのは約半年前でした。高得点を目指していたのですが、やや目標に届かない結果に終わってしまい、悔しさが残ります。

これまでを振り返って

:皆さんはいつ頃CBTを受けたのですか?

:旭川医科大学では9月末頃にCBTが実施されましたね。12月からOSCEが始まる予定です。

:横浜市立大学は11月上旬にCBTを行いました。

:滋賀医科大学もCBTは11月上旬でした。翌日からOSCEに向けての講義や実習が始まりました。例年、CBTの少し前に法医学の定期試験もあるため、なかなか大変な日程でした。

:宮崎大学は少し特殊な日程で、OSCEが8月末にあり、CBTが9月末にありました。その間は特に実習もなく、定期試験も4年生になってから1~2か月ごとに散発的に行われていたため、CBTの勉強はしやすい環境でした。

:CBT対策の勉強は、全3,000問のオンライン問題演習サービスや、映像講座を用いるのが一般的だと思いますが、どのように進めましたか?

まず、半年前から始めたという和田さんと宮﨑さんから聞かせてください。

:僕は本番の前日まで、オンライン問題演習サービスを毎日50問ほど解いていました。また普段から定期試験のたびに映像講座を視聴しており、CBT対策中も継続していました。

:僕はオンライン問題演習サービスを2周半ほどやりました。このサービスは同じ大学の学生の進行速度を見ることができますが、自分がかなりハイペースな部類だったので自信を持ってやっていました。しかし、数をこなすことが目的化して、解説を読めていない問題が残っているのに先に進んでしまったこともあったので、そういうところが失敗だったのではないかと反省しています。

:では、勉強を始めるのが遅くなってしまったという印南さんと徳田さんはいかがですか?

:私はCBT当日の3か月前からオンライン問題演習サービスを始めました。1日100問ペースで、解説を読んで理解することを意識しながらゆっくり進めていきました。

映像講座を買ったのはCBTの2週間ほど前だったのですが、時間的に全ての動画を見るのは無理だと諦めて、メジャーな科と、苦手な箇所だけを4周ほどしました。2週間前になると自分が苦手な分野もわかっていたので、その分野を重点的に動画で補完したという形です。

:僕もオンライン問題演習サービスを3か月ほど前に始め、2周半ほどしました。1か月前からは1日100問程度をじっくり解いて解説を読み、それでもわからないところは他の教材を読みました。最後の1週間になると1日300〜400問ほどやっていました。一対一対応の暗記が苦手なので、直前に一気に詰め込んだという感じです。

:暗記をするための工夫などは行っていましたか?

:僕は紙のノートを使わず、デジタルノートアプリを使いました。オンライン問題演習サービスからコピー&ペーストして科ごとにページを作り、そこに自分の苦手なトピックの文章を貼り付けました。

:僕も、オンライン問題演習サービスの解説などをスクリーンショットで保存し、空き時間に見返すことを中心的にやっていました。

:僕もタブレットを活用しました。人間の忘却曲線に沿って復習できるというアプリに映像講座の穴埋め問題を全て入れて復習していました。ただ、僕の使っていた映像講座では、治療法などCBT対策としては不要な情報も解説されていたので、オーバーワークになってしまったように思います。

:私もタブレットでノートを作成するソフトを使っていましたが、白紙のコピー用紙にひたすら参考書を書き写すことで記憶を定着させました。

:友達と一緒に勉強することはありましたか?

:僕は切羽詰まってしまって、集団で勉強しようという気持ちになることはほとんどなかったですね。

:僕も大半は一人でした。2~3人で勉強することもありましたが、新型コロナウイルス感染症の第7波もあり、最終的には一人でやっていました。

しかし、皆で集まって各自で勉強し、休憩時間に問題を出し合ったりすることもありました。自分一人で解くとどうしても分野が偏ってしまうので、友人にランダムに問題を出してもらうと、自分の不得意分野がわかって良かったです。

今後の糧となる経験

:CBT対策の勉強を通じて、どのようなことを感じましたか?

:スケジュールの立て方や、映像講座の使い方など、今後の自分の勉強方法が確立できたと感じました。また、オンライン問題演習サービスは他の学生の進捗がわかってしまうため、焦る場面もあったのですが、他人と比べるのではなく、「今日はここまで成長できた」と自分の中で自信をつけていくことが何よりも大事だと感じました。

まだ勉強以外にもやりたいことがたくさんあるので、勉強に集中するときと、そうでないときでメリハリをつけながら、残りの大学生活を楽しみたいです。

:僕はあえて映像講座を早くから視聴していたのですが、それはCBT対策というよりも、その先の国家試験を考えてのことでした。結果的に、CBTのことだけを考えるとあまり効率の良い勉強法ではなかったかもしれませんが、日々の努力は今後の自信になるとも感じました。CBTの結果を受け止めて、これからの勉強法を見直しつつ、国試に向かいたいと思います。

:僕も、CBTの点数を上げるというだけでなく、今の勉強が将来につながると思って頑張りました。

僕は以前、看護師として病院で働いていたのですが、その時の経験から、自分の見える世界は勉強次第で変わってくると感じるようになりました。今後の臨床実習においても、知識の積み重ねがあれば、手術の見学一つをとってもより深い理解につながるのではないかと思います。そのため、国試だけを目標にするのではなく、将来的なことを考えながら、自分の関心を掘り下げるような勉強を続けていきたいと感じました。

:確かに、CBT対策で学んだことは、その先の臨床実習にもつながっていきますよね。僕はこれまで、「CBTでこれだけの点数が取れた」と思うことができれば、今後の臨床実習の自信につながるだろうと考えてCBT対策の勉強を頑張っていました。CBTの結果自体には満足しているとは言い難いのですが、これからも一歩先のことを考えて頑張っていきたいです。医療の現場に、医療を提供する側として赴くのは初めてなので、将来の自分がどのような医師になるのか、明確なイメージを持って臨床実習に臨みたいと思います。

後輩に伝えたいこと

:最後に、今後CBTを受ける医学生に伝えたいことはありますか?

:勉強面に関しては、とにかくオンライン問題演習サービスを早く1周することをお薦めします。1周目は「こんな疾患があるんだな」というくらいで、どんどん進めていくのが大切だと思います。

また、本番当日は休憩時間が短く、お腹がすくため、お菓子を持っていくと良いと思います。私はお菓子をたくさん持っていったら、周囲の子から分けてもらえないかと声をかけられることがありました。

:CBTは6時間もあり、本当に疲れるので、リラックスして臨むことが大事だと思います。当日は肩の力を抜いて臨めるよう、椅子の高さを調節したり、画面の明るさを調整したりと、体がリラックスできる姿勢がとれるようにすると良いのではないでしょうか。

:参考になるお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました!

*1 OSCE…Objective Structured Clinical Examination
*2 CBT…Computer Based Testing

印南 麻央

横浜市立大学4年

他人と比較せず、自分の目標を 達成していくのが大事だと感じました

徳田 裕人

滋賀医科大学4年

今回身につけた知識は臨床実習で活かされると思います

和田 伊織

旭川医科大学4年

CBT対策の勉強を通じて今後の課題も見えてきました

宮﨑 夏男(仮名)

宮崎大学4年

結果に悔しさも残りますが今後につなげていきたいです

真野 竣

旭川医科大学4年

アドバイス ありがとうございます!

出口 貴祥

旭川医科大学4年

皆さんの勉強法を知ることができて参考になりました!

※取材:2022年11月
※取材者の所属は取材時のものです。

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