地域の救急医療を支えるしくみ

自己完結型のセンターで、あらゆる救急医療を担う

多くの救命救急センターは三次救急医療機関として、初期救急医療機関や二次救急医療機関で対応できないような重症患者を受け入れることが一般的です。けれど、この公立豊岡病院但馬救命救急センターでは、外来で訪れることのできる軽症の患者さんから、ドクターヘリで搬送される患者さんまで、幅広い段階の救急医療をセンターで一手に引き受けています。

「この但馬地方を含め、北近畿エリアは救急医療過疎地域と言われています。私たちはまさに『最後の砦』として、あらゆる患者さんを受け入れています。患者さんにとっては、自分が救急だと思ったら救急なんです。極端な話かもしれませんが、患者さん自身に『あなたは三次救急ですか?二次救急ですか?』と聞いたところで、判断できないですからね。お腹が痛いのも救急だし、意識がないのも救急。だから、センターが窓口となって全てを受け入れる体制を築いています。」

また、一般的に救急医が担う範囲は、患者さんの初期治療を行い、各診療科に振り分けるところまでですが、このセンターでは診断や手術、術後の集中治療、一般病棟での入院治療、果ては外来通院まで、救急医が主治医として関わり続けます。このように、一診療科として、患者の受け入れから診断・根本的治療まで一貫した治療を行う機能を持っているセンターを「自己完結型センター」と呼びます。

「うちのセンターには13人の救急医がいるんですけど、13人でドクターヘリ・ドクターカー・初期治療・手術・ICU・血管造影・一般病棟・外来等を回しています。それぞれ内科系・外科系のサブスペシャリティを持っていて、シフト制で勤務にあたっているので、休みもしっかり取れる体制です。また豊岡病院には専門の診療科も併設されているのですが、24時間365日センターが窓口となって救急患者を受け入れているので、各科には救急当直がないんです。もちろん、必要な場合は各科の医師がオンコール体制で携わってくれます。」

小林 誠人先生
公立豊岡病院 但馬救命救急センター センター長 
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