大学紹介
東京慈恵会医科大学
【教育】建学の精神に基づく先進的教育
東京慈恵会医科大学 内科学講座(糖尿病・代謝・内分泌内科)教授
教学委員長 宇都宮 一典
本学では、建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」にもとづいて、医学の基本である知識・技術の上に、豊かな人間性と高い倫理的・科学的判断能力をもつ医師を育成し、130年の歴史を築いてきました。この間、医学教育の改革には不断の努力を重ね、常に我が国をリードしてきました。現在、医学教育のグローバル化に向けて、さらに先進的なカリキュラム改訂に取り組んでいます。本学のカリキュラムの特徴として、まず低学年からの患者接触体験が挙げられます。入学早々から病院や福祉施設で体験実習を行い、医療現場を知り、将来の医療者たる自覚を醸成します。講義・実習は臓器別統合型カリキュラムになっており、1・2年次には人体生理、3・4年次には疾患病理の視点から2巡し、基礎から臨床に至る効果的な学習を可能にしています。その後の臨床実習は、参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ、CC)実践のために系統的に構築されています。4年次後半から1年間、全科ローテーション型の実習を開始しますが、この間、数週ごとに1週間の集合教育を設け、症候論・治療学などベッドサイドに出てその必要性に迫られる知識を演習形式で修得します。5年次後半から6年次前半にかけて、CCに入ります。CCでは研修医とペアになってチームに参画し、実際の診療の中で自ら学ぶ力を育成します。実習は多忙な医療現場である本学分院や関連病院で行い、内科・外科・小児科・産婦人科・精神神経科を必修とし、卒業時には独自の実技試験(OSCE)を実施します。昨年の6月、国際認証のための外部評価を受審し、高い評価を受けました。国際交流にも力を入れており、毎年30名を越す学生が海外で実習を行っており、常時40名以上の留学生を受け入れています。建学の精神を継承しながら、将来を担う医師育成のために全学をあげて邁進しているのです。
【研究】唯一無二の研究を発信する伝統
東京慈恵会医科大学 解剖学講座 教授
教育研究助成委員長 岡部 正隆
学祖高木兼寛の脚気の研究に始まる慈恵医大の研究は、その多くが病める患者を救うための臨床研究であり、本邦における医療の発展に寄与するものでした。精神医学では、森田正馬による神経質の精神療法である森田療法の研究、整形外科では、片山國幸による義手・義足の研究、片山良亮の骨関節結核の治療法や正座が可能な人工膝関節の開発、本邦初の耳鼻咽喉科では、現在の内視鏡下鼻内手術の鋳型となる、高橋良による鼻内手術など、珠玉が並びます。基礎医学研究では、本学出身で筋肉の収縮メカニズムの解明に大きな貢献をした名取礼二(文化勲章を叙勲)、電子顕微鏡で諸種ウイルスの写真を世界に先駆けて撮影した寺田正中、発光バクテリアの研究から蛍光顕微鏡の開発につなげた矢崎芳夫など、国内外で高い評価を受けた、歴史に残る多くの研究者を輩出しています。このような独創性あふれる研究を醸成する気風は現在も受け継がれており、疲労の原因や評価を研究する疲労医科学研究センター、疼痛の原因と克服を研究する痛み脳科学センター、細菌とそれを取り巻くマトリックスを一体として捉えた「バイオフィルム」の制圧をテーマとするバイオフィルム研究センター、マダニや蚊など節足動物が媒介する感染症に特化した日本初の衛生動物学研究センターなどが設置され、他学には存在しないオリジナルな研究が推進されています。本学では、こうしたオリジナリティの高い研究を推進するため、潤沢な学内研究費を確保し、臨床現場で生まれた研究シーズを公的研究費の助成を受ける本格的な研究に発展させています。慈恵医大における若手研究者は、大型プロジェクト研究でありがちなノルマ的な研究で疲弊することなく、「楽しみながら」「ワクワクしながら」個性豊かな研究を展開しています。その姿こそが、慈恵医大伝統の研究者像であるのです。
【学生生活】充実した学外実習で将来の患者さんとのコミュニケーションを学ぶ
東京慈恵会医科大学 医学部 4年 溝口 佳奈
慈恵医大は学外実習がとても充実していて、なかでも印象深いのは重症心身障害児療育体験実習と地域子育て支援体験実習です。重症心身障害児療育体験実習では、特別支援学校などで障害をもった方の介助などを体験します。最初は意思の疎通が難しかった方でも、実習後半では何をしたいか、何が嫌なのかがわかるようになってきます。地域子育て支援体験実習では、プレイパークという、屋外で子どもが遊べる施設でのお手伝いをしました。お昼には幼稚園児が遠足に来て、夕方になると学校が終わった小学生などが遊びに来ます。子どもがけがをしないよう気を配る必要がありますが、やっぱり一緒に遊ぶのは楽しいですね。将来は医師として、障害者や子どもとしっかりとコミュニケーションを取り診察をしなければならないので、いい勉強になりました。
私は大学の学生会で委員長を務めています。学生会は、年に2回行われる教授と学生の懇談会の準備を行います。学生側の要望を大学側に伝えるために事前に学生アンケートを行い、発表の準備を整えます。過去には、試験日程の調整をお願いしたり、来訪者用喫煙所の場所を変更してもらったりしました。先生も真摯に応えてくださり、充実した議論となっています。
部活はバドミントン部に所属しています。週3回、1年生が通う離れたキャンパスで練習があるので、通うのは少し億劫です(笑)。慈恵医大の運動部は、毎年春に京都府立医科大学と交流戦を行う伝統があります。東京と京都で交互に行うので、2年に1回京都に行くことができますし、東医体では一緒になることのない京都府立医科大の学生と仲良くなれるのは恵まれていると感じます。


〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8
03-3433-1111



- No.44 2023.01
- No.43 2022.10
- No.42 2022.07
- No.41 2022.04
- No.40 2022.01
- No.39 2021.10
- No.38 2021.07
- No.37 2021.04
- No.36 2021.01
- No.35 2020.10
- No.34 2020.07
- No.33 2020.04
- No.32 2020.01
- No.31 2019.10
- No.30 2019.07
- No.29 2019.04
- No.28 2019.01
- No.27 2018.10
- No.26 2018.07
- No.25 2018.04
- No.24 2018.01
- No.23 2017.10
- No.22 2017.07
- No.21 2017.04
- No.20 2017.01
- No.19 2016.10
- No.18 2016.07
- No.17 2016.04
- No.16 2016.01
- No.15 2015.10
- No.14 2015.07
- No.13 2015.04
- No.12 2015.01
- No.11 2014.10
- No.10 2014.07
- No.9 2014.04
- No.8 2014.01
- No.7 2013.10
- No.6 2013.07
- No.5 2013.04
- No.4 2013.01
- No.3 2012.10
- No.2 2012.07
- No.1 2012.04

- 医師への軌跡:草場 鉄周先生
- Information:Autumn, 2015
- 特集:認知症があたりまえの時代
- 特集:目の前の人に向き合い、したいことを手助けする
- 特集:ケース・スタディ 滋賀県東近江市永源寺地区 ①認知症の人と関わるチームの姿
- 特集:ケース・スタディ 滋賀県東近江市永源寺地区 ②認知症の人の暮らしの実際
- 特集:ケース・スタディ 大分県由布市 認知症で困っている人に関わる
- 特集:人と人との関係が認知症の人を支える
- 特集:認知症と共生する社会へ 経済界・企業トップ×日本医師会役員対談
- 同世代のリアリティー:大学生のレンアイ事情 編
- チーム医療のパートナー:患者支援団体
- チーム医療のパートナー:患者家族
- 10年目のカルテ:放射線科 奥田 花江医師
- 10年目のカルテ:放射線科 永井 愛子医師
- 日本医師会の取り組み:医療事故調査制度の創設
- 日本医師会の取り組み:医師主導による医療機器開発への支援
- 医師の働き方を考える:離れた地で、ともに医師として働き続ける
- 医学教育の展望:「経験から学ぶ」環境で、学生を育てる
- Cytokine 集まれ、医学生!
- 大学紹介:千葉大学
- 大学紹介:東京慈恵会医科大学
- 大学紹介:島根大学
- 大学紹介:藤田保健衛生大学
- 日本医科学生総合体育大会:東医体
- 日本医科学生総合体育大会:西医体
- 医学生の交流ひろば:1
- 医学生の交流ひろば:2
- 医学生の交流ひろば:3
- FACE to FACE:岡田 直己×大沢 樹輝