大学紹介
福井大学
【教育】目指せ!グローバルかつ地域に根ざす医療人
福井大学 医学部 副学部長(教育担当) 安倍 博
福井大学は、「21世紀のグローバル社会において高度専門職業人として活躍できる医師・医学研究者等の育成を積極的に推進する」ことをミッションとしています。今後のさらなる高齢化等の社会状況の変化、ER型救急への取り組み実績、また原子力関連施設が数多く存在する福井県の地域事情等を踏まえ、救急医療に強い総合医、緊急被ばく医療人材の養成など、地域社会のニーズに対応した優れた指導的医療人を育成する教育システムを構築しています。
現在、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に準拠した学部教育を行っています。3年次後半からの臨床医学科目は臓器別に基礎医学と臨床医学を融合した統合型科目として編成しており、学生からも好評を得ています。さらに、能動的学修を促すためにPBL教育を導入しています。また福井県内での地域医療実習を含めた、地域に根ざした「地域医療人養成カリキュラム」、「医療現場で使える英語」能力涵養のための「実践的医学英語コース」など、地域医療人または国際医療人の育成に強いカリキュラムを編成しています。また、医学系大学院としては全国初となる「地域総合医療学コース」を開設し、地域医療をリードできる質の高い総合診療医・救急医・家庭医養成の体制を強化しています。
現在、将来の国際認証評価に対応するため、新しいカリキュラムの編成を進めています。新カリキュラムでは、現行のカリキュラムの良い点を残しつつ、診療参加型臨床実習をより長く充実したものにするとともに、1年次からの基礎医学科目開講(解剖実習を1年後期から行う)や1~2年次に早期体験実習・多職種連携実習を導入するなど、早い時期から「医学へのモチベーション」と「医のプロフェッショナリズム」を認識させる教育内容などに充実させていく予定です。
【研究】画像医学研究と子どもの心の解明
福井大学 医学部 副学部長(研究担当) 内木 宏延
本学医学部を代表する研究は画像医学です。PET(ポジトロンCT)研究センターとして設立された高エネルギー医学研究センターを中心に、分子イメージングをはじめとする臨床画像研究が活発に行われています。がんや脳の生体機能イメージングにおいて、世界的に注目される研究を行っているほか、脳科学分野においても3T(テスラ)高磁場MR装置を早くから導入し、機能的MRI(fMRI)による脳機能の解明や子どもの脳の発達研究に取り組んできました。PET薬剤(分子プローブ)の開発や、新しい画像関連機器等の開発において、工学部や企業との連携にも積極的に取り組んでおり、医工連携・産学連携を実践しています。また、本学医学部が重点的に推進する研究に子どもの心の発達研究があります。近年、「子どもの健全な発達を支えるために何が必要か?」ということが問われ続けています。日本は超少子社会を迎えるにあたり、子どもたちの体と心の健やかな成長を手助けし、一人でも多くの子どもたちが健全な生活を送ることができる社会をつくる必要があります。本学子どものこころの発達研究センターでは「子どもの心」を解明・治療・支援するための研究が進行中です。脳の発達の分子・細胞レベルでの研究や、不登校や引きこもり、犯罪の低年齢化、発達障害など、子どもの心の問題を解明し治療・支援するための研究や活動が数多く展開されており、それぞれの分野の専門家が多数そろっています。とりわけ、ヒトの脳の活動を可視化し、脳の機能的発達を追う基礎的な研究や、自閉症など発達障害の仕組みを明らかにする研究は、高エネルギー医学研究センターと緊密に連携して行われ、世界の最先端を走っています。様々な子どもの心の謎や疑問の解明に向け、いまだ問題が山積していますが、これらの問題を真に解決する研究成果が本学より発信されることを願っています。
【学生生活】英語を通じて広めた知見を、地域に還元していく
福井大学 医学部 6年 出口 沙知
同 5年 新美 完
出口:私たちはECS(English Conversation Salon)という勉強会に参加しています。私は留学に興味があり、もともとはUSMLEの対策のために参加しました。最初は英語の参考書を用いて簡単な診察の練習をするところから始まるのですが、扱う内容は徐々に高度になっていって、今は英語で臨床推論を行っています。
新美:先生が患者さん役をしてくださることもあるのですが、常に英語でのコミュニケーションを求められるためとても緊張感があります。戸惑いながら診察をしていると、「いいから早く薬をくれ!」と言われたりして、あまりのリアリティに圧倒される場面もあります。
出口:大学では4年次以降、英語に触れる機会が激減するので、海外で診療していた先生が少人数セッションを開催して下さるこの環境はとても恵まれていると思います。
新美:福井という土地は、どこか時間の流れる速度が緩やかだなと感じています。自然に恵まれていて、朝キャンパスに来るとキャンプ場のような匂いがするんですよ。都会派の人には合わないかもしれませんが、自然豊かな環境で集中して着実に学びたい人にはおすすめできる場所だと思います。
出口:私はもともと何かに特化した医師ではなく、なんでも診られる医師になりたいと思い、総合診療に力を入れている福井大に入りました。そうした私にとっては、生活に寄り添う医師を求めてくれているなと感じるこの土地はとても過ごしやすいです。また、大きな急性期病院がたくさんある都会とは違って、県内の様々な疾患がこの病院に集まってくるので、キャリアを積んでいくにもいい環境だと思います。総合診療を目指す学生には、地方の大学で学ぶことにメリットはあると思いますよ。


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