
密着取材レポート
沖縄県立中部病院 呼吸器内科(前編)
沖縄県立
中部病院
呼吸器内科
550床の病床を有し、沖縄県中部の急性期医療の中心的な役割を担っています。米国統治下の1967年から医師臨床研修を実施しており、現在もハワイ大学と提携した米国式の教育を取り入れています。全国から研修医がやってきます。
石坂 真梨子先生
2015年
鹿児島大学医学部卒業
将来は地元宮崎県に戻って在宅医療に携わるのが目標。
取材日は、呼吸器内科のローテーション2日目でした。
6:00 採血
研修医の仕事は、早朝の採血から始まります。1年目の内科研修医は、毎朝15人程度の採血を行います。
7:30 救命救急センターへ
救命救急センターに寄って夜間に搬送されてきた患者さんの情報を確認します。この日、呼吸器内科に振り分けられた患者さんは5人でした。
入院患者さんの最初のサマリーを書くのは1年目の仕事です。
8:45 急変
回診に向かう途中、看護師さんからのPHSを受けると、患者さんに急変があったとのこと。まずは1年目が対応にあたります。2年目、3年目の先生も加わって対応を協議し、1時間ほどで患者さんの容態は落ち着きました。
10:00 回診
呼吸器内科の回診に合流します。情報共有するとともに、その診療科の考え方やアセスメントを学びます。
午前中は、入院患者さんの診察、採血や検査など様々な処置や対応に追われます。
病院の売店で購入したタコライスを、研修医室で食べてちょっと一息。
13:30 救命救急センターへ
放射線科の先生に読影のコンサルトを依頼、丁寧に説明してもらいました。
コンサルトの結果を、2年目の先生に報告しました。

密着取材レポート
沖縄県立中部病院 呼吸器内科(後編)
16:15 レクチャー
呼吸器内科の指導医の先生のレクチャー。良い雰囲気のなかで、発表した症例に基づいて、様々な考え方や知識を学びます。
仕事の合間に、看護師さんと気になることを打ち合わせ。
17:30 喀痰のグラム染色
感染症の原因菌を見つけるため、患者さんの喀痰をグラム染色して顕微鏡で観察します。
この日は大阪大学から実習に来ていた学生さんが染色を手伝ってくれました。
18:40 当直への申し送り
内科の各セクションから、気になる患者さんについて当直への申し送りです。
内科ローテーターの中から、1年目と2年目がペアで当直に入ります。
20:00 急変対応
急変を知らせる電話が。
腹部を触診して、胆嚢の腫れがないかを確認。
次々に急変対応の依頼が入り、夕食も取れないまま対応が続きます。
当直で診る患者さんについてはそれまでの経過を知らないので、看護師さんとカルテを見ながら状況を把握します。
24:30 カルテ記録
カルテを見ながら話し合い。次々に行った急変への対応をカルテに記入する仕事が待っています。「今夜は寝れないかも…」。当直でない日は、概ね22~24時頃には部屋に帰るそうです。
interview
多忙だからこそ、
どんなことからでも学ぶ姿勢を持ちたい
――研修医に任される仕事は具体的にはどんなことなのでしょうか?
石坂:1年目の仕事は、入院患者さんの最初のサマリーをまとめることや、採血、看護師からの問い合わせに答えること、急変時の初期対応などが中心です。中部病院では1年目に1000症例に関わるのが目標で、私も2月中には1000例に達する見込みです。2年目になると担当患者さんを持つようになるので、仕事はがらりと変わります。指導医の先生と話し合って治療方針を決めるほか、ご家族との連絡や入退院支援まで、一手に引き受けることになります。1年目は、そのための準備期間という感じですね。
――沖縄県立中部病院は研修がハードなことで有名ですが、働いていていかがですか?
石坂:忙しいときは本当に忙しくて、食事もろくにできない日もあります。でも忙しさにも波があって、例えば今の呼吸器内科は、比較的落ち着いて過ごせると感じています。指導医の先生方にも、休めるときに休んで、食べられるうちに食べておくようにと言われるので、自分でどうにかバランスをとっています。
ただし、業務量に圧倒されて、他の病院の研修医と比べても勉強する時間が不足していると感じるので、それを補うために、どんなことからでも学ぶ姿勢を持ちたいと思っています。例えば1年目が処方を出すときは、基本的に指導医の先生に言われた通りに書式に記入するだけなのですが、そんなときにも、先生は何を考えてこういう処方をしたんだろうってちょっと考えたり、わからないことは調べてみたり、聞いてみたり。そういうことの積み重ねによって、少しずつ自分の知識を増やしていければと思っています。



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