
密着取材レポート
和歌山県立医科大学附属病院 ICU(前編)
和歌山県立
医科大学附属病院
ICU
大学病院の機能と県立中央病院としての機能を併せ持つ、病床数約800を有する和歌山県の中核病院です。臨床研修のプログラムでは、本人の希望に合わせて大学病院と市中病院を細かく行き来できるところが特色です。
村田 鎮優先生
2015年
和歌山県立医科大学医学部卒業
将来は整形外科医を目指しつつ、総合診療能力も身につけたいと語る村田先生。救急救命センターでの3か月の研修のうち、1.5か月のHCU勤務を終え、ICUに移って2日目が取材日でした。
8:30 カンファレンス
夜間の入院患者さんについて、ER担当研修医からのプレゼン。教授や上級医が、高度救命救急センターにおける治療や判断の考え方を伝えます。その後20分ほどかけて、人工呼吸器の機能やメカニズムについて臨床工学技士からの講義がありました。
9:40 朝の回診
研修医1人が担当する患者は1~2人。朝回診では研修医が、上級医に対して担当患者さんの状態や今日の方針について説明します。ちゃんと準備をしておけば、大体は研修医が立てたプランに沿って治療が行われます。
上級医に相談したり、研修医同士で相談し合いながら仕事を進めます。

ICUは一般病棟と違い、専用のフォーマットを使って、時間刻みで記録やアセスメントを行います。
12:00 採血
血液培養のための採血。ICUには採血しにくい人も多いうえ、血液培養は必ず2か所から採血しなければならないので大変です。
12:40 昼食
昼食は、近くの弁当屋から配達してもらう弁当。HCUを回っていたときは研修医で揃って食べられませんでしたが、ICUでは集まって食べる時間もあります。カンファで発表された症例についても話が弾みます。
カルテに繋がるPCはインターネットに繋がらないため、薬について調べるときは自分のスマホを使います。

密着取材レポート
和歌山県立医科大学附属病院 ICU(後編)
13:30 担当患者さんの診察
皮膚の状態の確認や、心音・呼吸音などを聴診します。
ICUはまだ2日目。部署でのルールは、リーダーの看護師さんに聞きに行きます。
日勤帯と当直帯の上級医の申し送りに、研修医も同席します。
16:20 相次ぐICU入室
心筋炎の幼児がドクターヘリで搬送されてきました。多くのスタッフが対応にあたります。
村田先生は、直後に入室する術後の患者さんの対応にあたります。当直に備えて、人工呼吸器の設定について上級医から説明を受けます。
ICU入室時は、たくさんのスタッフが分担して一気に仕事を進めます。同期の研修医が動脈ラインの確保を担当。
村田先生は、検査値を見ながら上級医と状態を確認。当直に備えて、いま動くだけでなく先を見据えた動きも求められます。
入室後の慌ただしさも落ち着き、記録やオーダーの確認。投薬や検査のオーダーを入れるのは、研修医の重要な仕事です。
18:30 日勤帯の業務が終了
同期が帰途につき、村田先生は本格的に当直帯に入ります。
interview
自分にできることを見つけて
積極的に動いていきたい
――和医大病院では、大学病院と市中病院を細かく行き来できるんですね。
村田:はい。僕の場合は、最初に大学の整形外科を3か月、その後は南和歌山医療センターという市中病院で循環器内科を2か月、大学に戻って麻酔科と代謝内科を2か月ずつ、そして3か月救急を回り、4月からはまた市中病院でコモンディジーズを見る予定です。いろいろな所を見られるので、今後の働き方を考えるうえでも参考になります。
――ICUを回っていてどうですか?
村田:これまで回っていたHCUは、担当患者さんの数も多くて大変でした。ICUでは上級医が1名と研修医5~6名で10床を担当しており、研修医の役割は比較的落ち着いている患者さんの状態をしっかりキープすることです。急変時にはたくさんのスタッフがやってきて処置をするので、自分だけでやれることは少ないですが、重症例にしっかり関われるので勉強になります。あとは、ご家族の話を聴いたり、緊急入室で慌ただしい時に他の患者さんのフォローをしたり、自分でできることを見つけて動くように心がけています。



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