
三重県立こころの医療センター 作業療法士
太田 千代さん
心と身体のリハビリ
作業療法士(OT)は、精神科のチーム医療でも重要な役割を担います。精神科の患者さんの中には、疾患や障害によって仕事や遊び、休息といった活動がうまくできない方もいます。そうした方が社会生活に適応し、安らかな日常を過ごすことができるようにサポートするのもOTの役割です。今回は、三重県立こころの医療センターの太田千代さんにお話を伺いました。
太田さんは現在、精神科デイケアのスタッフとして働いています。デイケアは平日の8時半から17時まで実施しており、患者さんはデイケア(6時間)かショートケア(3時間)を選択して通所します。患者さんにとっては、デイケアに通うこと自体も社会生活に適応するための訓練の一環になります。統合失調症・気分障害・アルコール依存症・発達障害など様々な疾患を持つ患者さんが参加し、一日に40~50人の患者さんを、スタッフ4名で担当します。
デイケアのプログラムには様々なものがあります。例えば、スポーツや手芸、楽器演奏、調理などが挙げられます。太田さんは特に手芸やスポーツを担当することが多いそうです。道具を用意したり、役割分担をしながらプログラムを進行したり、準備から片付けまでの全工程を一緒に行うことで、社会生活のために必要な自主性や社会性向上のための訓練をします。
「精神科のデイケアに通う患者さんの中には、自信がなかったり、不安を抱えている方も多くいらっしゃいます。作業活動を通じて、より健康的な部分に働きかけることで、患者さんが自信を取り戻したり、自分の中の新たな一面を発見したりするお手伝いができればと思っています。例えば塗り絵の活動などで、落ち着いている時、焦っている時で作品にも違いが見られます。そこを見極めて声を掛け、患者さん自身が自分の状況を振り返るきっかけを作り、生活の中での自身の課題に取り組めるように支援します。患者さんの得意なこと、良い部分を、人との関わりの中で一緒に探していくのに、デイケアは大切な場所になっていると感じています。」
医師との連携
精神科主治医とは、互いに気になる患者さんがいる場合には情報交換等を行い、連携して治療に取り組んでいるそうです。
「日常的な関わりは少なめですが、将棋好きの先生がデイケアに顔を出して将棋をしてくれたときは、患者さんも私たちも大喜びで、みんなが寄ってきて輪ができるほどでした。親しみやすい雰囲気や話しかけやすさが、日々の業務の連携に繋がり、患者さんにより良いものを提供できると感じます。これからも医師との連携をより強めたいと思います。」
※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。



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