三重県立一志病院 訪問看護室(訪問看護師)
野尻 光子さん
在宅療養を医療でサポート
看護師は、様々な情報から患者の状態を把握・評価し、問題点や介入のポイントを判断したうえで、そのときの患者の状態に合わせて、最も健康的で質の高い生活を送れるように援助します。患者に最も近い所で働く場合が多いため、患者の状態や思いをよく把握しているという強みを持っています。
近年、在宅医療を担う一員として注目を集めているのが、病院の訪問看護部門や地域の訪問看護ステーションに所属する訪問看護師です。今回は三重県立一志病院の訪問看護師、野尻光子さんにお話を伺いました。
医療を必要とする高齢の患者が自宅で療養するとき、生活面の支援はホームヘルパーや家族が行えますが、点滴や留置カテーテルの交換などといった医療処置を行うことはできません。医療処置を含めた最適な生活支援で、その人が持つ能力に応じた、その人らしい在宅療養をサポートするのが訪問看護師です。訪問看護師は、定期的に患者の家を訪問し、まずは医療者の視点から生活環境を踏まえたアセスメントを行います。
野尻さんは、初回訪問の際には必ず足に注目します。爪の生え方や皮膚の色を見ると、日頃履いている靴や普段の行動が分かり、転倒リスクなどのアセスメントができるのだそうです。
アセスメントの後、必要な処置とケアを行います。訪問先では、設備の充実した病院と異なり、持ち込める医療機器だけで処置・ケアを行わなければなりません。また、訪問は一人で行うことも多いため、責任ある行動が求められます。
患者とその家族を支える
在宅療養の一番のメリットは、住み慣れた地域やご家庭で、その人らしく療養生活を送れることです。しかし同時に、すぐに医師や他の看護師を呼べる病院とは異なり、緊急時の対応に時間がかかるデメリットもあり、そのことに患者やその家族が不安を持っていることも少なくありません。そんな場合、医師に直接言いにくい不安については双方の橋渡し的役割になるなど、患者・家族に寄り添って気持ちや変化を汲み取ることも訪問看護師の大切な役割の一つです。
「訪問看護をするうえで、私はその人が大事にしている“マインド”を共有していくように心がけています。そして、介護をしている方への労いの気持ち・言葉を大切にしています。介護をしている方が元気でいることで初めて在宅療養が成り立つからです。
在宅療養をためらう家族はまだまだ多いですが、訪問看護の計画を説明すると少し不安が和らいで、『看護師さんが来てくれるのなら、在宅で頑張ってみようかな』と言っていただけることも多いんですよ。」
※この記事は取材先の業務に即した内容となっていますので、施設や所属によって業務内容が異なる場合があります。
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