大学紹介

信州大学

【教育】グループ学習や地域医療を通して問題解決能力を養う医学教育

信州大学 医学部 医学教育センター長 多田 剛

多田先生信州大学は北杜夫の著書でも知られているように自由闊達な校風が伝統です。医学部の前身は旧制松本医専で、他学出身の医師と自学出身の医師を分け隔てることなく、その人が能力を最大限発揮できるようにお手伝いする校風が自慢です。

現在、信州大学は学生のアクティブラーニング化に取り組んでおり、医学科でも1年次から学生たちがグループ学習を通じて自学自習のできる学習態度の醸成に努めています。

さて、平成26年度より私たちは「150通りの選択肢からなる参加型臨床実習」という新しい臨床実習制度を開始しています。これまでの日本の医学教育には総合的な臨床研修が欠如していたために、学生には実践的鑑別診断や、治療方針を調整する能力が乏しいことが指摘されていました。私たちはこれを改善するために「1診療チームに1学生」の方針で県内を中心とした37病院に医学生を派遣する参加型臨床実習体制を構築しました。これは世界標準の医学教育を目指す文科省の公募事業にも選定されています。

信州はまた、住民1人当たりの医療費が少ない割に健康長寿であることが全国的に知られています。この医療環境を作り上げているのが県下の医療機関の医療人であり、本学はその唯一の医育機関です。本学で医学を勉強していただけることは日本の将来にとっても有益なことだと考えています。

【研究】信州らしさを追求し、世界へ羽ばたく研究

信州大学 医学系研究科 疾患予防医科学系専攻長 樋口 京一

信州大学医学系研究科では、1958年に大学院博士課程が設置され本格的な研究と研究者養成がスタートしました。本学大学院には、生体制御領域(循環・呼吸・免疫・消化・生殖機能を中心とした研究領域)、腫瘍領域(悪性新生物を中心とした領域)、再生・再建領域(ES/iPS細胞・組織再生・再建・移植を中心とした領域)、脳・感覚機能領域(中枢神経系や感覚器を中心とした領域)、健康・社会医学領域(個体レベルの健康障害や社会と医療の関わりを中心とした領域)が所属する医学系専攻、および分子細胞制御学領域・個体機能制御学領域・健康促進学領域が所属する疾患予防医科学系専攻が設置されており、基礎から臨床まで、分子から社会まで、広範囲な研究を推進しています。またヒト環境科学研究支援センターが、最新・最先端の研究支援を行っています。

信州大学は自然環境に恵まれており、落ち着いた環境下で独自性・独創性に富む研究を行うには最適です。その恵まれた環境のもとで、私たちは信州らしさを追求し、世界へ羽ばたく研究を生み出しています。最近のトピックスとしては、信州大学に特徴的な先鋭領域研究の融合効果による発展を目指した「先鋭領域融合研究群」が発足しました。医学部は同研究群を構成する5研究所の一つである「バイオメディカル研究所」に、主に農学部と連携しながら、先端疾患予防学、神経難病学、バイオテクノロジー・生体医工学、代謝ゲノミクス部門を設置して重点的な発展を期しています。私が属しています「疾患予防医科学系専攻」は、長寿県長野の特性を活かし、予防医学と病態科学の融合によるイノベーションを目指して、優れた研究者を選りすぐって設置された専攻です。信州大学医学系研究科には国際的にも高く評価されている研究者・指導者が多数在籍しており、生涯の師に巡り会う機会が数多く存在すると信じています。

【学生生活】信州の自然に囲まれ、仲間と医療を学ぶ

信州大学 医学部 学生代表

信州大学のカリキュラムに特徴的なのはTBL(Team Based Learning)と呼ばれる少人数チーム別学習です。学生は患者の症状などが書かれたA4の紙1枚を渡され、どんな疾患なのか、どういう治療方針が適切なのかなどについて、15週間にわたって3人の患者さんの初診から退院までを議論します。他大学にあるPBL(Problem Based Learning)型の学習と違う点は、チューターがおらず学生だけで一切の議論を進め、結論を出し、発表の形までまとめなければならないところです。その患者さんに対してどういう治療を施したかをみんなの前で発表するのですが、同じケースでも、チームごとに異なったアプローチを行っていたのが印象的でした。

僕は救急医療を学習するサークルSALTsの代表をしています。SALTsの主な活動は、救急医療に関する様々なワークショップです。学園祭などで学生や市民の方々を対象にしたBLS(Basic Life Support,一次救命処置)の実技指導を行ったり、他大学の救急医療サークルと合同で救命救急の知識・技術を学んだりします。昨年の3月には第2回ALL信州ワークショップを開いて、北は札幌医科大学から南は大分大学まで、全国から学生が集まり、JPTECという、救急救命士が重症外傷の患者さんを搬送する際に用いる手技をみんなで学びました。

僕が信州大学を目指したのは、実は山が好きだという理由からでした。僕は受験の期間が長かったのですが、気分転換も兼ねて年に一度富士山へ登っていたんです。それがきっかけで北アルプスの山々に憧れるようになって、何としても信州大学へ入学したいと思うようになりました。山が好きな人間にとって、信州は聖地のような所ですからね。入学後には松本市内の社会人山岳会に入って、ロッククライミングを伴う登山に参加しました。長野には上高地などの豊かな自然があります。都会派の人は退屈だと思うかもしれませんが、自然が好きな人にとっては最高の環境だと思いますよ。

信州大学
〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1
0263-37-2580

No.12