大学紹介

兵庫医科大学

【教育】社会に貢献する医療人の育成を

兵庫医科大学 副学長(教育担当) 医学教育センター長 鈴木 敬一郎

鈴木先生兵庫医科大学は、「社会の福祉への奉仕」「人間への深い愛」「人間への幅の広い科学的理解」を建学の精神として1972年に開学しました。その精神に則り社会・倫理教育に力を入れ、1~3年次では医学へのモチベーションを上げるため多様な医療施設での実習から訪問看護まで体系的な早期臨床実習を実施しています。リベラルアーツ教育では多様な交流をめざして1年生全員が関西学院大学で人文社会系科目を履修します。チーム医療については、兄弟校の兵庫医療大学(看護・リハビリ・薬学)とチーム医療演習を行い、高学年では40以上の一般病院での学外臨床実習や海外派遣など、多様で自由度の高い臨床教育を実施しています。

医師は日進月歩の医学を生涯学び続ける必要がありますが、学生のみなさんは受験で培った学力はあるものの、能動的な学習の経験が少ないのも実情です。そこできめ細かい指導と学習支援を行うため、平成17年度に3名の専任教員と多数のスタッフからなる「医学教育センター」を設置しました。例えば、3・4年次では6名前後のグループに分かれて協調的に課題に取り組む仕掛けが工夫されたチーム基盤型学習を導入しています。これにより、症候から臨床医学を復習しながら能動的な学習姿勢と問題解決能力を涵養します。センターでは学習上の問題への対応や進路指導を行うだけでなく国試対策にも力を入れ、好成績をあげています。

もう1つ大学にとって重要なのは研究です。第3学年次から大半の科目を免除して在学中から研究の楽しさに触れ、留学もできる「研究医コース」を開設しました。奨学金などのサポートもありますので、ぜひ世界で活躍する一流の研究者・臨床家に育ってほしいと考えています。

このように、兵庫医科大学では学生の個性に合わせたサポートを行いながら、全員を「社会に貢献できる医師」に育てる教育を行っています。

【研究】世界レベルの基礎研究:その推進と臨床応用

兵庫医科大学 副学長(学術研究担当) 臨床研究支援センター長 西口 修平

兵庫医科大学は、建学の精神である「人間への幅の広い科学的理解」に基づいて、独創性の高い実用的な研究を行い、多くの分野で素晴らしい成果を上げてきました。たとえば、基礎研究では本学が発見したインターロイキン18などの研究で世界をリードしています。免疫学は多くの病気の原因に関わり、治療にも応用可能ですので、多数の臨床的成果が生まれています。一方、臨床からは、インターフェロンによる肝癌の抑制効果や、輸血や移植後の拒絶反応の基礎研究と治療応用などの成果を得ています。後者の研究で培われた細胞治療のノウハウは多くの疾患に応用可能ですので、本学では幹細胞を調整し培養するセンター(CPC※右写真)を設立し、輸血合併症・脳梗塞・癌などを対象に臨床研究を開始しています。

本学は、阪神間の人口密集地で交通至便な立地条件に恵まれ、多くの疾患で全国一の患者数を誇っています。たとえば、炎症性腸疾患は全国の患者の約1割が本学に通院中であり、アスベスト被害地域を近傍に抱えるため多数の中皮腫患者が受診されるので、「IBDセンター」や「中皮腫・アスベスト疾患センター」を設立し診療体制を整えています。さらに、この領域では診断や治療法の開発を目指した厚生労働省の研究班を主宰するなど、精力的な臨床研究を行ってきました。このような活発な研究活動が評価され、科研費など多額の公的資金を獲得しています。この潮流をさらに推し進めるために、学長主導で兄弟校の兵庫医療大学との共同研究支援センターや臨床研究支援センターを新たに設立致しました。

みなさんが入学されると、まず基礎研究に直接参加する機会が設けられ、高学年では臨床研究の実際を肌で感じてもらいます。卒業後も、リサーチマインドを持った臨床医を育て、その研究を支援することで、兵庫医科大学は社会に貢献できる医師の育成を目指しています。

【学生生活】命を救うための災害医療実習

兵庫医科大学 医学部 5年 鈴木 智大
同 5年 三林 聡子

鈴木:兵庫県では、過去に阪神・淡路大震災やJR福知山線の脱線事故などが起こっていることから、兵庫医科大学は災害医療に力を入れています。4年次には大学病院の医師や他職種と共同でトリアージ訓練を行います。過去のテーマは「高速道路上で大型観光バスが横転し、多数の負傷者が発生した」「西宮市で震度5の直下型地震が発生した」などでした。

三林:学生は特殊メイクを施し、患者として病院へ搬送されます。救命を第一の目的にするため、たとえ事故で眼球が飛び出した患者であっても、直ちに生命に関わる状態でなければ処置が保留されます。災害時に可能な限り多くの患者の命を救うためには、適切な順番で処置をしていかなければならないということを学びました。

鈴木:学外の活動について、僕は以前医療ビジネスコンテストに参加したのですが、そこで大きな衝撃を受けました。もともと僻地の医療問題に関心があったのですが、それらをビジネスの枠組みで解決できるかもしれないというところに心惹かれました。僕は京都府立医科大・近畿大工学部・慶應大薬学部の学生とチームを組んで、医師の派遣と観光を組み合わせるビジネスプランを発表しました。

三林:兵庫医科大学はアメリカのワシントン大学と交流を進めていて、5年次の夏休みには学生派遣が行われます。私自身もワシントン大学へ行き、生命倫理について1週間の講義を受けてきました。「緩和医療における宗教者の役割」や「救急における緩和医療」などの興味深い講義がある中、救急搬送時の患者家族に対するコミュニケーションの度合いが、それ以降家族が抱えるPTSDの重症度に影響するという話が特に印象的でした。

聖マリアンナ大学久保田さん
兵庫医科大学
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