大学紹介

香川大学

【教育】体験重視とICT支援の医学教育

香川大学 医学部 医学教育学講座 教授 岡田 宏基

岡田先生香川大学医学部医学科では、一方的な講義(座学)に偏らず、できるだけ体験的な授業を行うことを心がけています。低学年では、1年次からチュートリアルを取り入れ、課題発見・解決方法の基礎を学びます。また、開業医を主とした地域の医療機関と、介護老人福祉施設とで学外実習を行い、その先、医学・医療を学ぶモチベーションを高めてもらいます。2年次では、コミュニケーションスキルを高める実習を継続しており、平成27年度からは放送局の現役アナウンサーにも協力していただく予定です。また、自分を表現するパフォーマンスの実習も予定しています。3・4年次では、これまでのチュートリアル教育に加えて、スキルスラボ実習として、縫合や静脈採血など様々な医療手技の習得を目指しています。5・6年次の臨床実習では、いち早く地域医療実習を開始し、都市周辺部・山間部や島しょ部での医療も経験してもらっています。

また医学部内のIT環境も非常に整っています。看護学科棟のマルチメディア実習室には140台のPCを備え、1年次の情報リテラシー教育に用いるほか、共用試験CBTにも利用しています。学生会館や図書館には学生が自由に使用できるPCが設置され、多くの学生たちが日々利用しています。また、5年前から講義収録システムを全ての講義室に設置し、教員の承諾が得られた授業を収録し、学生は学内で視聴することができます。これは特に基礎医学の試験前に繰り返し視聴されており、授業の「生きた復習」に役立っています。さらに医学部教育センターでは動画配信システムを独自に導入し、医学教育に有用そうな種々の動画を配信しています。またこのシステムでは配信用の動画コンテンツを容易に作成できるため、昨今のe-learningにも即応できます。医学部ではこれらの取り組みを更に発展させていきたいと考えています。

【研究】独創的な研究“希少糖”と地域連携医療

香川大学 医学部 先端医療・臨床検査医学講座 教授 村尾 孝児

香川大学医学部では、基礎研究から臨床研究まで幅広い研究が行われています。特に本学のミッションである希少糖研究と医療ICTである「かがわ遠隔医療ネットワーク」K-MIXを利用した地域特異的な疾患(糖尿病など)の克服事業があげられます。香川大学では、単糖(糖の機能的最小単位)である希少糖に着目し、それらの機能(生理活性)について研究を進めています。希少糖とは、自然界に微量にしか存在しない単糖と定義付けられています。単糖には非常に多くの種類があります。自然界に多量に存在する単糖はブドウ糖など7種類だけであり、残りのものは全て希少糖です。希少糖は自然界に微量にしか存在しないが、逆に、種類は非常に多い(約50種類)とされています。これらの希少糖は大変高価であるため、希少糖を自然界に多量に存在する単糖から生産し、その機能を解明し、その成果を事業に連結するプロジェクトが香川大学で進んでいます。

一方、香川県は糖尿病受療率が全国第2位と全国平均を大きく上回っている状況にあり、地域レベルでの対策が急務となっています。香川大学は、香川県全域をカバーする医療ICTであるK-MIXを活用して「糖尿病地域連携クリティカルパス」を実行し、治療・予防活動をおこなってきました。現在は、これまでに構築した地域医療連携の基盤を活用して、重症化リスクの高い患者を専門的治療医療機関に集約し、多職種協働のチーム医療により糖尿病の重症化防止を実践する疾病管理体制(疾病管理マップ)の構築を進めています。我々は、電子化糖尿病地域連携パス・電子糖尿病手帳のプロジェクト開発の経緯もあり、政府の進める「シームレスな地域連携医療」構想と並行して、さらなる地域連携プロジェクトの普及を行っています。

その他にも本学では多様な研究が行われており、“讃岐の丘から世界に発信”を合い言葉に研究に邁進しています。

【学生生活】独自のプログラムを通じて医師の道を歩む

香川大学 医学部 5年 木村 なちの

香川大のカリキュラムの特徴的な点は、2年後期と3年前期のそれぞれに解剖実習があることです。2年次には人体の立体的な構造を学び、3年次の実習では臓器や神経の発生などをより詳しく学びます。この授業の評価は英語の口頭試問で行われるのですが、実際の筋肉や内臓を見て、部位の名前や機能を1分くらいで次々に答えていかなければならず、一発勝負なのでかなり緊張しますね。

「医動物学」という授業でアニサキスやマラリア原虫などの寄生虫と、有毒であったり感染症を媒介したりする衛生動物について学びます。担当の先生が虫を過剰に愛していて(笑)、スケッチを提出したら「この寄生虫の姿は格好良くない」とダメ出しされました。

私は国際交流会という部活に所属していて、3年次の夏休みに5週間、東南アジアのブルネイへ留学をしました。留学先のブルネイ・ダルサラーム大学(UBD)は、ブルネイ唯一の国立大学です。医学部の学生は学年に10人程しかおらず、手厚い教育が施されています。日本の大学では座学の授業が主ですが、UBDの授業はすべて学生との対話を通じて進められるチュートリアル形式です。「Clinical and Communication Skills」という授業では、先生が付きっきりで手技を教えてくれました。イスラム圏ということもあるのか、学生一人ひとりが非常に真摯で主体的なのが印象的でした。

休日は車で遊びに出ることが多いです。香川といえばうどんが有名ですが、四国の中であればだいたい日帰りで行けるので、高知のひろめ市場に美味しい鰹を食べに行ったり、小豆島のサイクリングコースへ行ったりと色々と楽しめます。充実した学生生活をのんびりと送りたい人には、香川はおすすめです。

聖マリアンナ大学久保田さん
香川大学
〒761-0793 香川県木田郡三木町池戸1750-1
087-898-5111

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